『脳はみんな病んでいる』 池谷裕二 中村うさぎ
「脳はこんなに悩ましい」に続く、池谷さんとうさぎさんの対談で進める脳に関するお話です。
けっこう難しい話をしているんだけど、この2人の話は面白い。今回の本の中で2人とも「自閉症スペクトラム症」の傾向が強いらしいという話をしています。こういう傾向のある人と、そうでない人が会話をするとどうにも噛み合わない部分が出てくるのだけれど、2人ともそうだからいいのかな?話がとっても噛み合っているんです。お互いに分かっているから、無理してない、遠慮してないというところがいいのかもしれません。
親に子ども時代の話を聞いたら「手のかからない子だった」と言われました。(池谷)
それは、わたしも言われた。(うさぎ)
他の子と違うノリだから、周りから浮いてしまいがちなので、自分がやりたいことを1人でコツコツやってみたり、変なことを言って嫌われないように自分をおどけたキャラにしてしまったり、それなりに工夫して人間関係をかわして生きてきたんですね。
2人とも一人遊びが得意な子で、放っておいても大丈夫だと親に思われていたというんだけど、親って意外と子どものことをわかってないんだなぁって思います。
普通とか、異常とか、他人はいろんな評価をし、ああしろこうしろと言ってきますけど、それって、その人がそう感じているだけで、わたしはそうじゃない。わたしはあなたに合わせられるかもしれないけど、合わせる義務はない。あなたのその意見は、あくまでもあなたの好き嫌いであって、わたしに強制する理由はない。ってことを言えなくて、苦しんでいる人が大勢いるんだけど、そんなことで悩まなくっていいはずなの。
脳の構造の問題で、他人から見たら変わったことをする人がいるんだってことを知ってもらうだけでも、大分違うと思います。だから、みんなこの本を読んでね。
それとね、うさぎさんが難病で車いす生活になっていたってことにビックリです。でも、相変わらず元気いっぱいな会話をしているのでほっとしました。
1828冊目(今年133冊目)
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