『スマホの中身も「遺品」です デジタル相続入門』 古田雄介
遺品というと、家や預貯金、美術品などというイメージしか湧かない人が多いかもしれないけど、今やデジタルの財産がかなり増えているんです。これまでには考えていなかった形のものだから、その取扱いに悩む人が増えているそうです。
たとえば銀行口座というと「通帳」というイメージがありますけど、今は通帳なしの口座も結構あって、スマホやPCからしかアクセスできないってこともあります。通帳があれば、そこから金融機関名や口座番号が分りますけど、スマホだけで決済しているような場合、スマホにログインできなかったらもうお手上げになってしまうのです。
そして、今や乱立状態の「○○ペイ」なんて、スマホでしか使えないわけですから、故人がスマホのパスワードをどこかに書き残していてくれなかったら、その存在すら分らないかもしれないのです。
デジタルで所有している写真や書類は、故人のものだけではありません。仕事で使用している資料やファイルだってあるわけで、それがある日突然使えなくなるというのは、とんでもないリスクを孕んだ問題なんです。
昨年、友人が亡くなった時に、残されたお姉さんが言っていた言葉が忘れられません。「弟のスマホにパスワードが掛かっていなくてホントに良かったわ。スマホの電話帳が見られなかったら、告別式に誰も呼べなかったのよ。最近は紙の住所録なんて作らないものね。スマホって便利なようで怖い機械よね。」
わたしもホントにそう思いました。ちなみにですけど、彼は会社を早期退職していたので、電話帳の中には会社関係の人は1人も登録されていなかったので、告別式には親戚と友人しか呼んでいません。
PCやスマホの中の財産、元気なうちに残される人に分かるようにしておくのが大事なことなんですね。そして、今は若くて元気だとしても、ある日突然新型コロナで命を失ってしまうこともあるかもしれない。命を失うところまでいかなくても、身体が不自由になってスマホを操作できなくなるかもしれない。と考えると、文章として残すなり、何らかの策を講じておく必要があるんだなと思いました。
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