『そこにはいない男たちについて』 井上荒野
料理教室を主宰(しゅさい)している実日子(みかこ)は、一年前、突然夫を亡くした。
悲しみの中しばらく教室を閉めていたが、 助手のゆかりのサポートもあり、やっと再開した。
一方、不動産鑑定士の夫が大嫌いになってしまったまりは、 友人の誘いで、実日子の教室に通うことになった。
まりは、マッチングアプリで出会った星野とデートを重ねていたが……(内容紹介より)
実日子さんは急に亡くなってしまった夫のことを忘れられず、まりさんは一緒に住んでいるのに心が離れてしまった夫のことが嫌でたまらない。どちらも、思うようにならない男に心を煩わされています。
嫌なら別れればいいのにと言われても、その踏ん切りがつかないまりさんのような人は、きっと大勢いるのでしょうね。金銭的なことや、世間体や、いろんな理由があるけれど、やっぱりその原因は自分の心。エイッという踏ん切りをつけるのが難しいのです。
夫を亡くした実日子さんは、ずっと悲しい気持ちを引きずってきたけれど、少しずつ立ち直りかけています。悲しみには日薬といいますけど、時間が少しずつ心を癒してくれているのかしら?
嫌な人と思っていた男に意外と依存していたとか、隣にいる時には気づかなかった優しさとか、「そこにはいない男」に心乱されてしまう女、これは永遠のテーマなのかしらね。
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