『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』 庭田杏珠 渡邉英徳
戦前から戦後の貴重な白黒写真約350枚を最新のAI技術と、当時者への取材や資料をもとに人の手で彩色。カラー化により当時の暮らしがふたたび息づく。(内容紹介より)
戦前ののどかな日常、花見や運動会の写真は、当時の明るい日々を伝えてくれます。広島の理髪店の前で撮影された母と子の写真は、映画「この世界の片隅に」に登場している「澤井理髪店」なのです。
わたしたちが今、見ることができる広島の原爆ドームのある一帯は、こういう普通の人たちが住んでいる町でした。それが一瞬にして跡形もなくなってしまったということを、この本に納められている写真を見ることで、初めて知ることができたのです。戦争は恐ろしいものです。
同じ時期、アメリカに住む日系人は敵国人として財産を没収されて、収容所に囚われていました。そういう写真も、この本には収められています。戦前の幸せな時期と、戦中のつらい時期、戦後になって解放された後、写真は事実を見事に伝えてくれます。
この本の中で私が一番びっくりしたのはドイツの収容所の写真でした。小説「縞模様のパジャマの少年」で描かれていたナチスドイツに囚われた収容所の少年たちが写っていたのです。戦争が終わり、命が助かった少年たちの笑顔がまぶしいです。
白黒で撮られた写真が見事にカラー化され、人の体温まで感じるような写真を見て、平和であることのありがたさをしみじみと感じました。
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1840冊目(今年145冊目)
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