『大江戸火龍改』 夢枕獏
禍々しきは、吾の出番。――妖退治屋をなりわいとする麗しき謎の男、遊斎の事件簿。
真っ白な長い髪を赤い紐で結び、不思議な着物を着ている遊斎さん。彼の家には古い箱やら巻物やら、しゃれこうべやら、不思議なものがところせましとあるのです。遊斎さんは「火龍改」人に害を与えるものを祓ったり、静めたりする仕事をしています。そう、陰陽師のようなお仕事をしているのです。
遊斎さんが退治する憑き物やバケモノたちの正体は、みんな人間なのです。人間の愚かな気持ち、嫉妬や欲や憎悪がそういうものを生み出しているのです。誰かを貶めたいとか、殺したいとか、黒い気持ちが増幅されて生み出されるものなのです。
いつの世にも、妖怪やバケモノがはびこるのは、そういうものを生み出してしまう愚かな人間がいつの世にもいるということなのです。
このお話の中に源内さんが登場するんです。鰻が大好きで、変わったものが大好きで、今でいうコピーライターのようなこともしていた源内さん。これがシリーズになったら、また登場してくれるのかな?
「あとがき」で、夢枕先生が書かれていたものは、今時の妖怪に対するキッパリとした宣言でした。
いいか、書いておくぞ。
ちゃんと見ているからな。
誰が何を発言したか、どんな目つきをしていたか、忘れないからな。必ず覚えておくからな。
はい、わたしも必ず覚えておきます。
誰が何をしたかということを。
誰が何もしなかったかということを。
そして最後に、スカイエマさんの挿絵もステキ!遊斎さん、カッコいい!
#大江戸火龍改 #NetGalleyJP
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