『うさぎとマツコの往復書簡』 中村うさぎ マツコ・デラックス
うさぎさんはマツコさんのことを「魂の双子」だと思っているのです。ホストに入れ込んだり、どうしょうもない買い物魔だったり、整形依存症だったりする自分と、ゲイで女装癖があって、ひきこもりだったこともあるマツコは、まるで違う人間で、まるで違うことをしているけれど、突き詰めていけば同じメンタリティを持った人間だというのです。
自分の中にあるどうしようもない衝動を、世間に晒さないようにして生きているのが普通の人たちだとすれば、この2人は全く逆の立場の人たちです。自分の性癖や衝動を「見世物」にすることで生計を立てているということを自覚しつつ、どうしてこんな人間になったのかということを悩み続けているのです。
うさぎさんは、まだ誰も知らなかったマツコさんを世間に引き出し、その才能が輝くきっかけを作った人です。歳もけっこう離れているし、生まれ育った環境もまるで違うけど、お互いを理解しようとする気持ちがとても強いのがステキだと思います。時には舌戦となったり、ムっとしたりもするけれど、それも相互理解のために必要なことと分かり合えているのです。
神様は、アタシの中にいる。アンタの中にいる。みんなの中にいる。神様に魂を売るってことは、己の魂と決着をつけるってことなんだね。(マツコ)
辛いことがいろいろあって、神様にお願いをしたり、時には神様にバカヤローと言ったりすることもあるけれど、自分が何をしたいのか?自分は何を目指しているのか?それは後になって分かることが多いんだよね。
どんなことが起ころうと、最終的に自分は自分であるということを認めるしかないんだってことなんだよね。
この2人の会話はホントに面白い。それはお互いに隠すことがないから、全部ホンネだから、心からお互いをリスペクトしているから。
1865冊目(今年170冊目)
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