『遥かに届くきみの聲(こえ)』 大橋崇行
透くんは、高校進学を機にひとり暮らしをすることにしました。有名な子役であった過去から逃れて、普通の高校生としての毎日を過ごしたいと思っていました。知らない町で入学した高校なのに、同級生に昔の自分を知っている人、遥さんがいたのです。彼女は自分が所属する朗読部へ入るように透くんを勧誘します。でも彼はそれを嫌だと断りました。
演劇部とか放送部などで朗読を行っている部活はかなりありますが、単独で朗読部という部活がある学校は、意外と少ないかもしれません。この本の中で描かれている朗読部では、走ったり、腹筋運動をしたり、発声練習をしたり、割と体育会っぽい感じで準備運動をしています。そして物語をどう表現するのか、声色、声の強弱、間の取り方、この辺りは演劇部と似ているけれど、声だけで勝負するところが朗読部独特なのかしら。
朗読は声を出す技術だけでなく、その物語をどう解釈するのか、誰の視点で話を進めるのかなど、文学的要素も大事なのです。だから、これにハマったら止められないだろうなぁって思います。
朗読コンクールは、一番上は全国レベルの大会まであって、それに向かって頑張っている人が大勢いるのです。今年はどうしているんでしょうね。がんばってきた子たちには可哀想な年になってしまったなって思いました。
朗読の場面はけっこうスリリングです。こういう本の読み方もあるのかと、教えられることが多い内容でした。
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