『Q.O.L.』 小路幸也
龍哉はミュージシャンだったんだけど、今は何もしてません。生まれてからずっと住んでいた家に、母が亡くなった今も1人で住んでいて、でも1人で住むには広すぎる家だから一緒に住まない?とくるみと光平に聞いてみたら、2人ともそうしようと言ってくれて、3人で同居生活をするようになったんです。
龍哉の父親(といっても、ずっと会っていなかった)が亡くなり、遺品の大きなアメ車が函館にあって、トランクには拳銃が積まれているというのです。その話をすると、くるみと光平が2人とも同じことを言ったのです。その拳銃で殺したい人がいる。だからその拳銃を貸して欲しいと。
くるみと光平はそれぞれに重い過去を持っていて、でもそんなことは人には見せないようにして暮らしています。誰にでも話せるようなことじゃないけれど、でも殺したいほど憎い人がいるということを龍哉は理解してくれて、拳銃を貸してくれることになったのです。
傍からはお気楽そうに見える彼らだけど、心の奥底に重いものを持ってるんだなぁ、だからそれを分かりあえる3人での生活が心地よいんだろうなぁって思える展開でした。
彼らは「東京バンドワゴン レディー・マドンナ」に登場してたんですね。すっかり忘れてしまっていたので、再読してみようと思います。
「Q.O.L.」 というタイトルですけど、どんな意味なんだろうって思っていたら本の裏表紙に書いてありました。「QUEST OF LOVE, QUALITY OF LOVE」愛を探す、愛の質っていうような意味でしょうか?確かに、3人それぞれの愛について考える物語だったんですね。
最後にバンドワゴンの我南人さんに「Love だねぇ!」って言って欲しいような結末でした。
1877冊目(今年182冊目)
« 『読書の価値』 森博嗣 | トップページ | 『ぼくのすきなせんせい』 青本雪平 »
「日本の作家 さ行」カテゴリの記事
- 『蛇行する月』 桜木紫乃 25-155-3551(2025.06.07)
- 『小説家の姉と』 小路幸也 25-126-3522(2025.05.09)
- 『その日暮らし』 坂口恭平 25-105-3501(2025.04.18)
コメント