『廉太郎ノオト』 谷津矢車
この本を読むまで、滝廉太郎という名前を聞いても「荒城の月」や「花」を作曲した明治時代の人という程度の認識しかありませんでした。でも、この作品の中で登場した「幼稚園唱歌」などを調べてみてビックリしました。
「鳩ぽっぽ」「雪やこんこん」「お正月」(幼稚園唱歌)など、知っている曲がたくさんありました。「中学唱歌」では「箱根八里」「荒城の月。「花」は組歌『四季(花・ 納涼・月・雪)」の1曲目であるということも初めて知りました。
15歳で 東京音楽学校(現:東京芸術大学)に入学し、ピアノと作曲を学んだ廉太郎は、若くして音楽学校の教師となり、その後ドイツへ国費留学したのですが、5か月後に結核で日本に戻ることとなり、しばらくは故郷大分で療養していたのですが、わずか23歳で亡くなってしまったのです。
音楽を愛し、ピアノ演奏にも作曲にも才能があった廉太郎が、音楽に触れたのは姉の影響でした。琴を弾いていた姉に手ほどきを受けて琴を弾いていると父親に男子がそんなことをするのではないと怒られるような時代だったのですが、音楽をどうしてもやりたくて、父親を説得して東京へ行くという決断をしたのは、若くして亡くなった姉の分も音楽をやりたいという強い気持ちがあったからなのかもしれません。
姉と同じ肺結核で若くして亡くなった廉太郎、長生きしていたらもっともっと多くの作品を残して、日本の音楽がもっと違ったものになっていたかもしれません。音楽に生き、音楽に生かされた滝廉太郎という人の音楽をもっと聴いてみたくなりました。
1858冊目(今年163冊目)
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