『本のリストの本』 南陀楼綾繁 書物蔵 鈴木潤 林哲夫 正木香子
表紙に書かれた「リストから読書ははじまっている。」ということばに妙に惹かれます。
古書店のリスト、読書家が作った愛読書リストなど、無数の本のリストがあります。それを参考にして本を手に取る人がいたり、リストを読むこと自体を楽しむ人がいたり、様々な使い道、楽しみ方があります。この本ではそんなリストを作る人、利用する人、愛する人が登場します。
〇獄中で読む本のリスト
マルコムXは獄中で文字を読むことを覚え、たくさんの本を読み、生まれて初めて学習する喜びを知ったのです。「マルコムX自伝」や映画でも、この点について言及されていますが、読書することによって彼はイスラム教に興味を持ち、人種問題と闘うことを考えるようになったのです。もしも刑務所に入らなかったら、彼の人生は違ったものになっていたでしょう。
何度も投獄された大杉栄は「一犯一語という原則をたてていた」というのです。一度投獄されたらひとりの時間をたっぷり持てるから語学の勉強をするというのです。そしてエスペラント語、イタリア語、ドイツ語の勉強をしたというのです。
ホリエモンも「ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた」というくらいですから、獄中で読書というのは存外有意義な時間の使い方なのかもしれません。
刑務所の中で執筆活動と読書指導をしていたジェフリー・アーチャーのことを思い出しました。
(獄中記 時獄編)(獄中記 煉獄編)
〇ハリーポッターの次に読みたい本のリスト
ハリーポッターは余りにも凄いブームでしたから、この本を読んで本を好きになったという子どもたちもきっと大勢いるでしょう。でも、それと同じくらいこのシリーズを面白いと思わなかった人もいるはずです。ハリーポッターを読んでいても、いなくても、面白い本はたくさんあるんですから、こういう本も面白いよ~というリストを作ったわけです。
- はてしない物語 ミヒャエル・エンデ
- トムは真夜中の庭で フィリバ・ピアス
- ゲド戦記 J・R・R・トルーキン
- 長くつ下のピッピ アストリッド・リンドグレーン
- ナルニア国ものがたり C・S・ルイス
こういうリストは決して子供だけのためのものではありません。一度読んだ本も、読んでこなかった本も、大人になって読んでみると又違った面白さがあるのですから。
〇チャリング・クロス街86番地 書物を愛する人のための本
これは、イギリスの書店のリストを見て本をオーダーするアメリカ人のお話です。本のリストを見ながらいろんな想像をしてオーダーをする ⇒ 頼んだ本が何か月かしてやってくる。 ⇒ 本を開いて喜んだり、ガッカリしたりする。という手紙のやりとりが、とにかく面白いのです。
こういう書店と読者の関係って、今だとなかなか構築できないなぁって思うのです。まるで文通のようなやりとりが友情を生みだすのってステキです。
#本のリストの本 #NetGalleyJP
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