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『みんなの朝ドラ』 木俣冬

みんなの朝ドラ

木俣冬(きまた ふゆ)

講談社現代新書 2477

 朝ドラ、2010年代になってからはずっと見てます。それ以前も時々見たりしてましたけど、半年(昔は1年!)続くドラマっていろんな意味で大変ですよね。

 

 NHKの朝ドラは基本的にヒロインの人生を描いていきます。「おしん」のように子供時代から死ぬまでを描くものもあれば、最近のものだと子供時代から中年までというのが多くなってますね。かつては戦争ですべてを無くして、苦労しながらも家族と生きていくというパターンが多かったけど、最近は最後まで独身のヒロインがいたり、少しずつ女性の描き方が変わってきているなぁと思います。

 

 わたしは朝ドラを見ていて、ヒロインよりも、その次の位置にいる人に興味を持ってしまいます。「あさが来た」なら、あささんより旦那さんの新次郎さん。「半分、青い。」では鈴愛(すずめ)ちゃんの幼なじみの律くん。「ごちそうさん」なら、め以子が嫁に行った先の義姉の和枝さん。こういう人たちの魅力で朝ドラは成立しているって思うのです。

 

 そんな中で、一番印象的だったのは「花子とアン」に登場した白蓮さんと夫の嘉納伝助さんでした。この2人について調べてみるとそれはそれは興味深くて、主人公の花子よりこちらの方がずっと気になってしまいました。

 そしてナレーションが美輪明宏さんというのも素晴らしかったですね。最後におっしゃる「ごきげんよう」がステキでした。

 

 ナレーションでステキといえば、「ひよっこ」の益田明美さん!こういうキャスティングができるのが凄いなぁと思いました。「ひよっこ」はタイトルバックのミニチュア(田中達也)とか、主題歌の「若い広場」(桑田佳祐)とか、アパートに住んでいる人たち(大家さんの白石加代子とか、シシドカフカとか)米屋の米子とか、あらゆるところが面白かったです。

 

 「あまちゃん」の一大ブーム以来、朝ドラが再び見直されています。「マッサン」も「とと姉ちゃん」も「カーネーション」も、この本より後に放映された「スカーレット」も、それぞれに楽しく、それぞれに色んなことを考えさせてくれました。

 

 9月14日から「エール」が再開します。朝ドラと同じように、日常が少しずつ戻ってきてくれますように!

 

1889冊目(今年194冊目)

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