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『えにしや春秋』 あさのあつこ

えにしや春秋

あさのあつこ

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〇花曇り
 おまいは生まれて初めて化粧してもらい、きれいな着物を着せてもらいました。それは奉公先のお嬢さんの代わりに見合いに行くためでした。その支度をしてくれたのは、お初さんという不思議な人でした。

〇夏の怪
 吉野作之進という武士が川に落ちて亡くなったという話が町中で広がったのです。それを聞いたお初は、あの吉野様がそんな死に方をするのはおかしいと思ったのです。

 

「えにしや」は「人と人の縁を結ぶ。あるいは切る。それを生業とするんだよ。」

 「えにしや」は裏の商売です。依頼主からの頼みに合わせて人と人を結び付けたり、家との縁を切ったりする手助けをしています。そのためにはかなり危ない橋もわたっているけれど、それが人のためと思って真面目に仕事をしています。知ってしまった秘密は絶対に漏らしません。そのためにも、やたらな人から仕事を頂くことはありません。

 

 えにしやの親方は不思議な人です。ただのおじいさんかと思わせておいて、鋭い目で人を見極めているのです。お初がなぜ、えにしやで働くようになったのか、なぜ変装が上手くなったのか、それが話と共に分かってくるのですが、その根っこにあるのは悲しい生い立ちです。でも、それはそれとして、お初は毎日お仕事に励んでいます。

 

 「花曇り」は、江戸下町の人情を感じる物語。「夏の怪」はちょっとゾクゾクする感じが、どんどんページをめくらせていきます。こういう感じ、いいなぁ。

 続編もありますよね、きっと。

 

#えにしや春秋 #NetGalleyJP

1895冊目(今年200冊目)

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