『愚の骨頂』 中村うさぎ マツコ・デラックス
きっと、「マツコもっと言ってくれ」って応援してくれる人たちも大勢いると思うし、現に、そういった声がアタシの元に届いているケースもあるのだけれど、同じぐらい、いや、もしかしたらそれ以上に、「お前がゲイ代表のような物言いはするな」と思っている人たちも多いはずだわ。(マツコ)
マツコさんは頭のいい人だから、そして繊細な心を持った人だから、色々悩みもあるんだろうなぁと思うんです。でも、その姿、その物言いは放っておいても目立ってしまうから、攻撃されることも多いんだろうなぁ。でも、どんなことにも立ち向かっていく立派な人だと思うんです。
あんたが魅力的なのはね、たとえ女装や毒舌やデカい態度で武装してても、あんた自身は自分の弱さをちゃんと知ってて、その武装の下の謙虚さや繊細さ(←イヤな言葉だけど、これ以外の言葉を思いつかないのでごめんね)が表面に滲み出てるところなのよ。どんなに泥まみれになっても、あんたは汚れない。魂が曇らないっていうかね、それはちゃんと他人に見えるのよ。逆に、どんなに純粋そうな顔をしてても魂が曇ってる人は、最初はわからなくても徐々にその曇りが透けて見えてきてしまう(惚れて盲目になっちゃったら別だけど)。(うさぎ)
うさぎさんは、マツコさんと対極のキャラで、いい意味で鈍感なんだろうなぁと思うんです。だから常に突っ走ってしまう。テレビ局の人に「こうしてください」って言われても「何で、そんなことしなくちゃいけないのよ!」というスタンスが取れるんだろうなぁ。
この本に納められている往復書簡と対談は東日本大震災の直後で、その時の心情やなんかがストレートに語られているんだけど、コロナ禍の今読んでみると、何か似てるなぁって思うんです。本当は危ないってわかってたくせに放置しておいて、いざ危険な状態になると大騒ぎ!ああ、情けないことばっかり。
マツコさんが冷静に批判してることは、今も現在進行形。日本はちっとも変わらないのね。なんて思わずボヤきが出てしまいます。
それにしても、うさぎさんとマツコさんは、お互いを心からリスペクトし合ってるんだな。うさぎさん曰く「わたしたち魂の双子だもん」っていいなぁ。こういう人がいてくれたら、大抵のことは乗り越えられるよねって思います。
1928冊目(今年233冊目)
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