『きいちゃん』 山元加津子 多田順 絵
きいちゃんは、子供の頃に高熱が出て、手足が不自由になってしまいました。だから、家から遠く離れた養護学校で生活をしています。
ある日、きいちゃんのお姉さんが結婚することになったととても喜んでいました。
でも数日後、きいちゃんは泣いていました。結婚式には出ないで欲しいと、おかあさんに言われてしまったのです。
養護学校の先生と相談して、お祝いに浴衣を縫うことにしました。結婚式には行けなくても、お姉さんに何かステキなものをプレゼントしたいと思ったんです。きいちゃんは、一生懸命に浴衣を縫いました。
こういう話って切ないよね。長女の結婚式に、身体が不自由な妹がいるということを出席した相手の家族や親せきに見せたくないと思ってしまったお母さんだって、それは悩んだ末の決断だったと思うし。
そういう理由で大好きなお姉さんの結婚式に出席できないということを受け入れなければならない、きいちゃんの辛い気持ちを考えると、誰のせいでもないのに、どうしてそうなるのかなって思ってしまう。
でも、最終的には結婚式に参加できることになったきいちゃんは、さぞかし嬉しかったろうなぁ。お姉さんも、お母さんも嬉しかったろうなぁ。
ホントはね、そんなこと悩まなくていい世界であったら一番いいんだけど、障害者を隠しておこうとする人たちがまだまだ大勢いるから、悲しい思いをしている人がきっと大勢いるんだろうな。
そんな悲しい人が一人でも減るような、悲しい人が一人もいなくなるような世界を、みんなで作らなくっちゃね!
1908冊目(今年213冊目)
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