『ルース・ベイダー・ギンズバーグ』 ジェフ・ブラックウェル&ルース・ボブディ編 橋本恵 訳
ルース・ベイダー・ギンズバーグ
Ruth Bader Ginsburg
ジェフ・ブラックウェル&ルース・ボブディ 編
Chris Blackwell & Ruth Hobday
橋本恵(はしもと めぐみ)訳
NetGalleyJP
米国私の進学先について、ビジネススクールにするか、ロースクールにするか、事前に夫と話し合ったんですが、1950年代のハーバード・ビジネススクールは女子の入学を認めていなかったので、ロースクールに決めました。
その後の変化には、励まされています。今では、アメリカのロースクールの生徒の約半分が女性ですからね。目覚ましい進歩です。(本文より)
ニューヨークのコロンビア大学ロースクールで、法学で学位を取得し、首席で卒業したのに、ルースは法曹界で就職することはできなかったのです。これが60年前のアメリカの現実でした。
ユダヤ教徒で女性、しかも母親という理由から、法曹界で就職するのは至難の業だった。そこで学会に転向して教授となり、ニュージャージー州のラトガース大学ロースクールで民事訴訟、抵触法、および比較法を教え、その後ニューヨークのコロンビア大学ロースクールに移り、憲法学も教えるようになった。(本文より)
その後、努力を重ねたルースは1980年にジミー・カーター大統領により、コロンビア特別区巡回区連邦控訴裁判所の判事に指名されました。さらに1993年にビル・クリントン大統領により、アメリカ合衆国連邦最高裁判事に指名されたのです。上院司法委員会に満場一致で承認され、上院本会議でも賛成96、反対3で承認され、アメリカ合衆国連邦最高裁の史上2番目の女性判事となったのです。
かつて、医師や弁護士、警官、パイロットなどの職業は、女性には閉ざされた世界でした。その理由は何だったのでしょうか?女性には無理だと考えた人もいたでしょう。肉体的、精神的に重労働となる仕事を女性にさせないのが男性の役割であると考えた人もいたでしょう。でも、ほとんどの人たち(女性も含めて)が、女性は家庭を守るという仕事をすべきだと思い込んでいたのだと思います。その思い込みを打破するために、ルースのような女性たちが頑張ってきたのです。
今では女性がこのような職業に就くことは珍しくなくなりましたが、まだまだ平等とは言い難い状況が続いています。
日本はまだ、ルースがロースクールを卒業した当時と大差ありません。医学部の入試で高得点をあげていても、女性だからという理由で不合格にされた人もいます。上場会社の役員になっている女性の割合は低いまま。国会議員の比率は調査した193カ国中165位、G20諸国で最下位、女性活躍社会なんて絵にかいた餅でしかありません。
アメリカではルース・ベイダー・ギンズバーグを目標に頑張っている女性が大勢います。彼女の素晴らしさを広めることで、日本の女性にも諦めちゃいけないということを感じて欲しいと思うのです。
9月18日に87歳で亡くなった彼女のことを日本でももっと知って欲しいと思うのです。
#ルースベイダーギンズバーグ #NetGalleyJP
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