『腸詰小僧』 曽根圭介
初めて読む曽根圭介さんの短編集です。
最初はこの人が被害者なのかと思っていたら、実は加害者だったり。犯人は男だと思っていたら女だったり、見事に騙されてしまうストーリーが集められています。
前提条件が全部揃えられているわけでもないのに、この人はこういう人だって思い込みを持ってしまうのって、ありがちなことなんだけど、とても危険なことなんだなって思います。この人はきっといい人だと思い込んでいるばっかりに犯罪に巻き込まれてしまったり。自分は被害者なんだって叫んでる人が実は犯罪者だったり、誤解と勘違いと運の悪さが人を悪い道へ陥れてしまうんですね。
この短編集の中に登場する親や保護者たちの、訳の分からない思い込みの重さが、「ああ、それが原因だよ」「もう、手遅れだよ」というためいきになるところが、いかにも日本的なミステリーだって思います。
「腸詰小僧」って、結構怖いタイトルなんですけど、グロイわけじゃない。でも、最後が怖いんです。「留守番」も、そう来るかぁって感じが好きです。
短編だからこその、スキっとした展開がいいなって思います。
この7編が収められています。
「腸詰小僧」「解決屋」「父の手法」「天誅」「成敗」「母の務め」「留守番」
1929冊目(今年234冊目)
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