『色どろぼうをさがして』 エヴァ・ジョゼフコヴィッチ
色どろぼうをさがして
The Mystery of The Colour Thief
エヴァ・ジョゼフコヴィッチ
Ewa Jozefkowicz
大作道子(おおさく みちこ) 訳
NetGalleyJP
英国イジーはあの日からずっと混乱していました。事故でお母さんがが大けがをして、病院で昏睡状態になっています。お父さんは毎日病院へお見舞いに行っているけど、イジーはお見舞いに行く勇気がないのです。でも、みんなは彼女がショックを受けてるからだって思ってるみたいです。
彼女の部屋の壁には、お母さんが描いてくれた絵が何枚もあります。とてもきれいな色で描かれているのに、昨日は青がなくなって、今日は黄色がなくなって、だんだんと色がなくなっていくのです。
イジーは、ある日トビーという車椅子の少年に出会いました。彼は最近近所に引っ越してきたらしいのです。彼はと一緒イジーに川でいいものを見せてあげるというので付いていったら、そこには白鳥がいました。灰色の白鳥の子どもたちの中に、1羽だけ少し小さい子がいて、トビーはその子に「トンガリ」という名前を付けていて、あの子を助けてあげたいんだというのです。
イジーの心の中にはいろんなものが渦巻いていました。お母さんがいなくて家にいても寂しいこと。学校で友達と上手くいかないこと。お母さんがいない間、面倒を見に来てくれた叔母さんのやることなすことに腹が立つこと。お父さんが疲れ果てていて、大事なことを話せないこと。誰にも、何も話せないのです。だから一人でずっと悩んでいるのです。
12歳の少女が精神的に孤立してしまうって、とても危険な状態ですね。学校でも家でも、言いたいことの半分も言えない。だから余計に不安が大きくなってしまって、些細なことまで気になってしまう。これじゃ学校へ行くのも嫌になっちゃうなぁ。
トビーといるときだけ、素直な気持ちでいられました。だから、トビーには本当のことが言えたのでしょうね。本当のことを言えたから、次のことを考えられるようになったんですよね。
お母さんが、早く良くなりますように!
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