『死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威』 岡田尊司
オキシトシンは、ストレスや痛みを和らげたり、血圧を下げたり、 ハグやキスなどによって分泌されるホルモンとして知られています。このオキシトシン不足が心の問題を発生させ、最悪の場合死に至ると著者は語ります。
人を幸福にする、生物学的な3つの仕組み
・お腹いっぱい食べたり、性的な興奮で生じるもので、エンドルフィンなどの内因性麻薬(脳内麻薬)が放出されることによって生じる快感
・困難な目的を達成したときに放出されるドーパミン
・愛する者の顔を見たり、触れあうときに発生する、オキシトシンの働きによって沸きおこる興奮というよりも安らぎに満ちた喜び(愛着)
子どものために有利だと思って、いつの間にか自分の判断を押し付けてしまう親に共通するのは、共感性がとても弱いということである。子どもはそれに内心反発し、心がつぶれそうになっているのに、わが子の心の声に気付かない。子どもも自分と同じことを望んでいると、勘違いしていることも珍しくない。子どもの気持ちを自分の気持ちと区別できないのである。(本文より)
子どもにとって親は絶対的な存在です。親なしには生きていくことができません。その親から相手にされなかったり、冷たい仕打ちを受けて育ったら、それはその子の心に大きな痛手を残します。大人になってもその気持ちは消えることがありません。一生、親に愛されなかった、親に認めてもらえなかった、という傷を負ったまま生きていきます。
親から愛されたという実感のない人は、オキシトシンの分泌が少なくなり、精神的にも肉体的にも不健康な状態が続きます。ここから逃れるために必要なのは、周囲の人たちの優しい気持ちなのです。
多くの人(子ども)は自分が親から愛されないのは、自分のせいだと思い込んでいます。そこから抜け出すのは容易なことではありません。自分はダメだ。自分は価値がない。と思い込んでいるのですから。ですから、周りにいる人にできることは「あなたのせいじゃないよ」と言ってあげること、となりに座って黙って話を聞き、手を握ったりハグすること、あなたは1人じゃないって感じてもらうことしかないのです。
愛着とは、世話をする仕組みなのである。世話をする仕組みが弱体化するということは、わが子の面倒をみたがらない人が増えたというだけでなく、他人の世話を焼く人がいなくなったということでもある。
かつては家の近所の人、世間の人たちがいろいろと面倒を見てくれたんですよね。近所で悪さをしたら叱ってくれる怖いおじさんがいたり、見合いの口を紹介するお節介なおばさんがいたり、そういう世話を焼いてくれる人がどんどんいなくなってしまって、孤立化する人が増えてまったんです。
さみしさで死ぬなんて、これまで信じてこなかった人たちも、コロナ禍になって気づき始めています。孤独は人から希望を奪い、そのまま放置したら死ぬというのは現実です。直接触れることが難しい今だからこそ、愛着障害というものを真剣に考えなければなりません。
愛着障害は死に至る病ですから。
1911冊目(今年216冊目)
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