『薄情』 絲山秋子
宇田川くんは、将来は叔父さんの神社を継ぐ予定で、神社が忙しい正月とか七五三の時期などには神社で働いているけれど、それだけでは生活できないので、夏には嬬恋でキャベツの収穫のバイトをしています。お金を貯めるにはいいけれど、結構きついのでいつまでもできる仕事じゃないなと思っています。
宇田川くんは大学は東京へ行っていたけど、今は群馬県に住んでます。知らない人が大勢いるようなところが苦手で、人とあまり関わらずに生きていける今の状態が割と好きだなって思ってます。
女の子と付き合うのも楽しいけど、自分をカッコよく見せようなんてこれっぽっちも思ってなくて、自然なままの自分を気に入ってくれる子となら付き合ってもいいなって思っているあたり、ちょっと小心者で、でも宇田川くんっていい奴なんだろうなぁって思えます。
そんな宇田川くんと付き合っていたのに、別の男から「結婚前提で」と言われて、そっちに乗り換えた女、こういう女ってどこにでもいるんだなぁ(汗) わたしの知っている範囲でも何人もいますよ。ズルいよね、そういうの。こういう女に未練を残さなかった彼はエライ!
宇田川くんは世間が求めてくる「人並」だとか「普通」みたいな基準が嘘くさいってことを分かってるんだろうな。そんなもののために、自分の嫌なことを押し付けられるのはまっぴらって思っている彼は、自分に正直なんだよね。
人間が嫌いってわけじゃないけど、人との距離感をある程度持ちたいというのが彼のスタンスなのね。働くのが嫌いってわけじゃなくて、面倒くさいしがらみが嫌いってことなんだろうな。会社組織みたいなものに対しても距離感を持ちたいって感じが伝わってきます。
彼が薄情なんじゃなくて、世間の方が薄情なのかなと思えてしょうがないのです。
1917冊目(今年222冊目)
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