『100さいの森』 松岡達英
明治神宮の森は100年ほど前に作られた人工の森です。全国から様々な樹木を寄贈していただいて作られました。最初は針葉樹を、そして広葉樹を植え、その後は特に手を入れることなく、自然に任せて森は形作られました。
倒れた木があれば、その場所の日当たりが良くなり、隣の木が育ちやすくなります。倒れた木は土となり、昆虫たちの餌となり、より栄養豊かな土となっていく、それこそが自然の輪廻なのです。
東京大空襲の時も、周りの家は焼けても水分が多い森だけは焼けずに残りました。
明治神宮へ行ってみると、そこが都会であることを忘れてしまいます。それほど深い森なのです。
今の季節だと、どんぐりがたくさん落ちているでしょう。木の根元にはキノコも生えているでしょう。鳥たちのさえずりも聞けるし、時にはタヌキも出てくるそうです。
都会のど真ん中で森林浴ができるんです。深呼吸したら、心もきっとスッキリするでしょう。
学生時代、わたしが通っていた専門学校から、明治神宮は徒歩圏内だったので何度も散歩に行きました。
空模様が怪しくなると、神宮に集まってくるカラスの鳴き声が聞こえてきて、ああもうすぐ雨が降るんだなって天気予報のように思っていました。
まわりがどんなに変わっていこうとも、明治神宮はずっとそこにあり続けるのでしょうね。
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