『ぼくもだよ。神楽坂の奇跡の木曜日』 平岡陽明
書評家として活躍し出したよう子さんは、出版社から新しい提案をされます。これまでは書評だけだったけど、自分自身についてのエッセイ的な文章も書いて欲しいというのです。
本間さんは神楽坂で小さな古書店を営んでいます。離婚してから、息子のふうちゃんに会えるのは毎週木曜日だけ。銭湯へ行って、パンケーキを食べて、寝床で本を読み聞かせして、そんな小さな幸せを糧にして生きています。
最初は別々に進行してきた物語が、ある時点からリンクしだします。2人には思いもかけないつながりがあったのです。
よう子さんは心に大きな傷を負っています。それは母親から受けてしまった傷だということはわかっています。だから彼女とできるだけ距離を置いて生きてきました。シングルマザーだった母が自分のことを必死に育ててくれたことは感謝してるけど、事あるごとに彼女が吐き出す毒に心を深く傷つけてきたから、彼女と一緒にいなければ心静かに生きられるということに気付いたのです。そんな思いを文章にしてから、よう子さんは少しずつ変わってきました。
彼女のように母親から発する悪いものを浴び続けてきた人は大勢いると思います。親から見れば「あなたのために」という思いなんだろうけど、子供から見たら「それは違うよ、あなたの自己満足や八つ当たりじゃない」ということがたくさんあるんです。
よう子さんが、学生時代に教えてもらったエリック・ホッファーの「波止場日記」。これはいい本ですよね。ホッファーという、自分らしく生きることに専念した人に、よう子さんは共感したのでしょうね。この本がキーになってストーリーが展開していくのが、とてもステキでした。
タイトルにもなっている「ぼくもだよ」という言葉が、心に沁みる作品でした。
#ぼくもだよ神楽坂の奇跡の木曜日 #NetGalleyJP
1940冊目(今年245冊目)
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