『エリーゼさんをさがして』 梨屋アリエ
亜美さんは中学2年生、子供の頃からずっとピアノを習っていて、ピアノを弾くことが大好きなのに、お母さんから、あなたはピアノの才能はなさそうだからピアノ教室を辞めなさいと言われてしまいました。ええ~って思うけど、お母さんの言うことには逆らえません。しぶしぶ、そうすることにしました。
亜美さんはお父さんやお母さんの顔色を見ながら暮らしています。だって、反論したら面倒くさいことになるから。2人とも自分の思うとおりにならないと怒ってばかりいるのがとっても嫌なんです。
通学路の途中の太鼓橋のところで、不思議なおばあちゃんに会いました。ベンチに座ってちょっとおしゃべりをしているうちに、亜美さんは自分が高齢者と話をすることがほとんどないんだなぁって思ったのです。そのおばあちゃんの名前を聞かなかったので、エリーゼさんというあだ名をつけました。
ふとしたきっかけでデイサービス施設で歌の伴奏をピアノで弾くことになった亜美さんは、そこへやってくる高齢者たちのことがとっても気になるようになりました。こういうところへやって来て、手芸や歌を楽しむことで楽しい毎日が送れるんだということ、家族だけでなく、地域の人や施設の人と触れ合うことも大事なことなんだということ。そういうことを少しずつ学んでいったのです。
この物語の前半は、自分に自信がなくてクヨクヨしっぱなしだった亜美さんでしたけど、後半になると自分でいろんなことを考えたり、やってみたりすることで、自分に少しずつ自信が持てるようになったみたいですね。こうやって少しずつ成長していくのは、とってもいいことだな。学校の勉強だけが勉強じゃない、いろんな体験が人間の幅を広げてくれるのかなって思います。
自分の好きなこと、自分のやりたいことが、少しずつ分かってきたから、親に対しても自分の意見をちゃんと言えるようになったのかな?
自分より恵まれているように思っていた友達が、意外な悩みを持っていたことを知って、ちょっと親近を持ったりしたのも良かったのかな?
エリーゼさんに出会ったのをきっかけに、将来の夢も持てた亜美さんは、自分の手が「優しい手」だってことに自信を持って生きていってほしいなと思いました。
#エリーゼさんをさがして #NetGalleyJP
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