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『ハーレムの闘う本屋 ルイス・ミショーの生涯』 ヴォーンダ・ミショー・ネルソン

ハーレムの闘う本屋
ルイス・ミショーの生涯

ヴォーンダ・ミショー・ネルソン 著
Vaunda Micheaux Nelson

R. グレゴリー・クリスティ イラスト
R. Gregory Christie

原田勝(はらだ まさる) 訳

 ルイスはやんちゃな少年でした。のちに牧師となった兄ライトフットは彼のことを手のかかる弟だと思っていました。でも、ルイスは一生懸命に考えていたのです。自分らしく生きるにはどうすればいいのかを。そして、彼は決めました。本屋になろうと!

 1939年ニューヨークの7番街に「ナショナル・メモリアル・アフリカン・ブックストア」という書店をオープンしました。黒人が書いた、黒人についての本だけを売る店です。

 彼の店の奥には机といすが置かれていて、店内の本を買わなくても、そこで読んでいいのです。ルイスに、自分はどんな本を読んだらいいのかと質問すると必ず素晴らしい本を紹介してくれました。そして彼は言うのです。

「きみが頭のまわりにつけてるものは、寝たらこすれて落ちてしまうだろう。きみを死ぬまで支えてくれるのは、頭の中にいれたものだぞ」

 この言葉は、今の日本人に一番伝えたい言葉です。自分の頭に知識を詰め込み、自分の頭で考えなければ、大きな力に抑え込まれ、殺されても文句も言えない。それでもいいのか!

 

 ナショナル・メモリアル・アフリカン・ブックストアには様々な人がやって来ました。子どもも、大人も、普通の人も、悪い人も、有名な人も、どんな人がやって来ても、ルイスは同じように親切に本の話をしてくれました。カシアス・クレイ(モハメッド・アリ)もマルコムXも、この書店のファンでした。

ブラザー・マルコムが死んだと思ってるんなら、あんたの頭はすっかりいかれている。
いつまでもベッドで居眠りしてないで、マルコムの闘志が広まっていくのを見ろ。
目を閉じてたって、眠っているとはかぎらない。

さよならを言ったからって、それっきりってわけじゃない。

 

 たまに白人がこの店にやって来て、わたしたちはあなた方のためにどうすればいいんだろう?と聞きます。ルイスは「何でもいいからアクションを起こせ」と答えます。思っているだけじゃだめだ、行動で示せというのです。

 

 わたしは、だれの話にも耳を傾けるが、
 だれの言い分でも聞き入れるわけじゃない。
 話を聞くのはかまわないが、
 それをすべて認めちゃいけない。
 そんなことをしていたら、
 自分らしさはなくなり、
 相手と似たような人間になってしまうんだ。
 勢い込んで話してくる人を喜ばせ、
 それでも、決して自分を見失わずにいるには、
 けっこう頭を使うものだ。

 ルイス・ミショー

 

 こんなすごい人がいて、こんな素晴らしい書店をやってたんだということにビックリします。ルイスの書店はたった5冊の本から始まりました。この書店はなくなってしまったけれど、その思想は今でも多くの人の心の中に残っています。

 第二次世界大戦のとき、多くの黒人が兵隊として戦争へ送り出されました。その家族たちが通信販売でこの店の本を戦地の夫や息子たちに送ったということに驚きました。多くの人たちが、この書店に希望を託したのです。

 Black Lives Matter という運動の根源は、この店が、この人が作ったのだろうとわたしは確信しました。

1966冊目(今年271冊目)

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