『カモメに飛ぶことを教えた猫』 ルイス・セプルベダ
カモメに飛ぶことを教えた猫
Historia de una gaviota y del gato que le enseñó a volar
ルイス・セプルベダ
Luis Sepulveda
河野万里子 訳
チリ
瀕死のカモメが、ハンブルグのとあるバルコニーに墜落したのです。そこにいたのは黒猫のゾルバ。カモメは自分の代わりに卵を孵して、飛び方を教えてくれと頼んで、死んでしまいました。
卵を託されたゾルバは必死に卵を温め、他の猫たちや、飼い主の人間などの外敵から守ります。卵から出てきたヒナはゾルバのことをママと呼ぶのです。そして「おなかがすいた」と鳴くのです。
友達と相談しながら必死にカモメのヒナを育てるゾルバは偉いなぁって思います。いくらカモメの母さんに頼まれたからって、そうそうできることじゃないですもの。
ゾルバが感じた、自分と違う生き物だけど、この子を守らなければいけないという気持ち。そういう気持ちをみんなが持てたら、この世から不幸なことは少しずつ減っていくんだろうな。
先が見えない今だけど、明日はきっと晴れると信じて、自分が出会うことはすべて良いことだと信じて、淡々と生きていくことが大事なのかなって思いました。
自分は飛べなくったって、カモメに飛び方を教えられると信じたゾルバのようにね。
1980冊目(今年285冊目)
2023.04.12追記 著者のルイス・セプルベダ氏は、2020年4月、新型コロナ感染により亡くなりました。また、作中で引用される「カモメ」という詩は、同じく2020年に日本で刊行され話題となった『アコーディオン弾きの息子』の著者ベルナルド・アチャーガ氏によるものです。« 『白い病』 カレル・チャペック | トップページ | 2020年を振り返って(その他) »
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