『モダン』 原田マハ
この本には、ニューヨークの美術館 MoMA(The Museum of Modern Art)にまつわる5つの話が収められています。
美術館を運営する人、見に行く人、いろんな人が登場します。それぞれの美術館への思い、記憶、憧れ、などが描かれていきます。
日本だと展示物からある程度離れるようにロープを張ったり、ガラスケースに入れたりという所が多いですけど、海外の美術館ではほとんどの展示物が触れる状態(実際には触ってはいけないとされてますけど)で展示されています。そこで写真を撮ったりスケッチしたりするのも自由という所が多いです。
「ロックフェラーの幽霊」で監視員をしているスコットさんは、そのギリギリの線を守りつつお仕事をしていて、神経を使う仕事だなって思います。最初は絵に興味なんて持っていなかったけれど、毎日見ているうちに少しずつ興味が湧いてきて、ピカソってどこがいいの?みたいな思いを友達に話すところがいいなぁって思いました。
「私の好きなマシン」のジュリアのように、そこで見たものに心を奪われ、将来への道が見えてくる人もいますよね。こういう出会いができる美術館というのもいいなぁ。
楽しいことも、辛いことも、いろんな思いを持ってみんな生きています。その思いを癒してくれるのも、楽しませてくれるのも、美術館の役割かな?ああ、美術館へ行きたくなっちゃった!
〇中断された展覧会の記録 Christina's Will
福島の原発が津波によって壊され、放射能が大量に漏れたというニュースを聞いて、福島の小さな美術館に貸し出されていたワイエスの絵画「クリスティーナの世界」を引き取りに行くように命ぜられたのは、日系アメリカ人の杏子でした。
〇ロックフェラー・ギャラリーの幽霊 Ghost in the Blanchette Hooker Rockefeller gallery
スコットはMoMAの監視員をしている。もうすぐ閉館時間になりそうな時間に「アヴィニヨンの娘たち」を熱心に見ている青年のことが気になった。
〇私の好きなマシン My facorite machine art
生まれて初めてMoMAへ行ったときに開催されていた「マシン・アート展」にジュリアは心を奪われた。
〇新しい出口 Exit between Matisse and Picasso
ローラは、あの9.11の大惨事を目の当たりにしてしまい、その後PTSDを抱えるようになってしまった。
〇あえてよかった Happy to see you
MoMAでの1年間の勉強中、麻美の面倒を見てくれたのはパティでした。最後の日、パティ急用で休みでした。
1996冊目(今年16冊目)
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