『ひと』 小野寺史宜
柏木聖輔、20歳。田舎に住む母が亡くなり、1人っきりになってしまいました。学費はもう払えないので大学を辞め、仕事を探していました。自宅から歩いていける砂町銀座のお惣菜屋さん「田野倉」で食べたメンチがとてもおいしくて、ここでバイトさせてもらうと決めました。
田野倉の人たちはみんないい人達でした。厳しいことも言われるけれど、それはどれも納得できることで、聖輔は気持ちよく働くことができました。
学生時代はバンドでベースを弾いていたんだけど、もうそれどころじゃないなと思って、今は弾いてません。総菜屋の同僚の女性の中学生の息子がベースを始めたいと言っていたのを聞いて、ベースを譲ることにしました。
休みの日に、昔父親が働いていた店を探しに行って、そこで父を知っている人に出会い、いろんな話を聞きました。父が生きているうちに色々聞いておけばよかったなぁなんて思ったりもしました。初めて会った人達なのに、みんな「また、来てね」と言ってくれます。父の人柄が、そういう言葉を生んでくれるのかなって思います。
父を数年前に亡くし、母も亡くし、ひとりきりになってしまって気落ちしていた聖輔でしたが、周りの人達の優しさに少しずつ気持ちが落ち着いてきます。
嫌な人もいるけど、自分のことを心配してくれる人のほうが多いということに気づいたら、自分は前を向いて生きていくしかないなぁって思えてきたのでしょうね。きっと聖輔は、いい人生を送っていけるのでしょうね。
今年最初の読書は、とてもさわやかな気持ちで読み終えることができました。
コロナ禍がおさまったら砂町銀座へ行ってコロッケ買って食べようっと!
1981冊目(今年1冊目)
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