『終電車ならとっくに行ってしまった』 フジモトマサル
二週間の休暇 を読んで以来、フジモトマサルさんが気になってしょうがないのです。この本はフジモトさんのエッセイと短いマンガで構成されているのですが、乾いた笑いというか、不思議な面白さに溢れているのです。
子供の頃の記憶の曖昧さの話とか、夜中に眠れなくて散歩していた話とか、劇的なことは起きないんだけど、でも少しドキッとしたり、ああそういうことあるよねって思ったり、ジワジワ来る感じなんです。
フジモトさんの分身であろうナマケモノさんが、穴の底から見上げていたり、鳥と話をしていたり、台所の床のキシミに想像を巡らせてみたり、そんな姿に心惹かれます。わたしもあなたのように、穴の中を探検してみたいわと思ったり、宝物を届けに旅に出たいなと思ったりしてしまいます。
ひとりで想像を巡らす時間を持っていないと、わたしはドンドンつまらない人間になっちゃうなぁって気持ちになってきました。
「生きている限り絶えず右か左かの選択をしている」と言いながら、右の道でもなく左の道でもないところへ進んでいくナマケモノさんについていきたいわたしです。
1985冊目(今年5冊目)
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