『思わず考えちゃう』 ヨシタケシンスケ
この本、本屋さんで見かけて思わず買っちゃったの。ヨシタケシンスケさんの絵って、なんともいえない愛らしさがあって、素通りできないのよね。
この本の中でヨシタケさんが普段、どんなことを考えて絵を描いているのかが、たくさん語られています。
これって不思議だなぁ。どうしてこんなことになっちゃってるの?かわいいなぁ。そうか、他人はそんな風に思うのか、なんてね。
クスクス笑いながら読んでいるうちに、ドキッとする言葉に出会ってしまいました。
「情けは人のためならず」っていうことわざがあります。相手に優しくしたりすることは、相手のためにやるんじゃなくて、それは回り回って自分のためになるからだよ。っていうありがたい言葉です。
全く同じ意味で、逆に人を甘やかすっていうのは、要は自分を甘やかすことにしかないわけで、他人を甘やかし続けると、それは必ず自分の首を絞めるっていうことが、すごくこう身につまされるし、多分僕はいろんな人を、身内を、世間を、社会を甘やかすことで、最終的に(怪獣か何かに)食べられる日が来るんだろうなってことをぼんやり覚悟しながら、生きているわけなんです。(本文より)
誰かに頼めばいいのに「何でも自分でやればいいんでしょ」ってやってしまったり。その人(子)にできることなのに、やらせなかったり。自分では優しくしているつもりだけど、結局は誰かが体験する機会を奪ってしまっているのかもしれない。誰かの成功体験を奪っているのかもしれない。それが回り回って、自分の首を絞めるのかもしれないって、ものすごく大事な指摘だなぁ。
危ないことをさせないとか、失敗させないとか、そんなことばっかりしてたら、何にもできない人が増えるばかりですねぇ。外出自粛だからカップ麺を買い込むんじゃなくて、こんな時だからこそ自炊してみるとか、家にずっといるんだから本を読んでみようとか、そんなこと考えない人になっちゃう。
よごれて洗ってよごれて洗って。いい感じになりなさい。
転んでよごれちゃっても、洗えばいいじゃない。またよごしちゃっても、また洗えばいいじゃない。そうやっていい味が出てくるんだからって思える自分でいたいなぁ。失敗は成功の元、貴重な体験だよって思えることが、楽しい毎日を過ごす秘訣だよって信じたい。ねぇ、ヨシタケさん。
1998冊目(今年18冊目)
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