ブログ内検索


  • ダメでもいいからやれ。
    体験もしないでお前ら、
    すぐに「ダメだ」って言うのは、
    学校で聞いただけの話だろう。
    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

読書Love!

  • 本が好き!
  • NetGalleyJP
    プロフェッショナルな読者
    グッドレビュアー 100作品のレビュー 80%

« 『心と響き合う読書案内』 小川洋子 | トップページ | 『アリエリー教授の「行動経済学」入門』 ダン・アリエリー »

『大川の水』 芥川龍之介

大川の水

芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

青空文庫

 読友さんのご紹介で芥川龍之介の「ポーの片影」を読んでみたら、エドガー・アラン・ポーへの愛に溢れていてビックリでした。

 そこで思い出したのが、ご近所の両国高校敷地にある「芥川龍之介 文学碑」のことです。
 この碑には「大川の水」の最後の部分の文章が刻まれています。

もし自分に「東京」のにおいを問う人があるならば、自分は大川の水のにおいと答えるのになんの躊躇もしないであろう。ひとりにおいのみではない。大川の水の色、大川の水のひびきは、我が愛する「東京」の色であり、声でなければならない。自分は大川あるがゆえに、「東京」を愛し、「東京」あるがゆえに、生活を愛するのである。

 「大川の水」は大正3年(1914年)4月1日発行の雑誌『心の花』第18巻第4号に「柳川隆之介」の署名で掲載されました。

Akutagawa

 芥川は生まれは京橋区入舟町(現・中央区明石町)でしたが、母親が病気のため、本所区小泉町(現・墨田区両国)にある母の実家の芥川家に預けられ、後に叔父の養子となり、この家から江東尋常小学校(現・両国小学校)、府立第三中学校(現・両国高校)へ通っていたのです。

 大学を卒業後、大川(隅田川)から離れた土地で暮らすようになったけれど、やっぱり大川が懐かしくてしばしば訪れると語る「大川の水」という随筆の中に、芥川の心の故郷はここにあるという気持ちが強く出ていると思います。

 

 大川に浮かぶ船や、鳥たちを愛し、ヴェネチアになぞらえてほめたたえているあたり、芥川ってモダンボーイだったのかしら?と思わせます。

 当時は渡し舟も何か所かあったけれども、それも段々なくなっていくのだろうと憂いている芥川です。それほどに大川を愛していたのなら、大川のそばで暮らしていればよかったのに、そうしたら、もうちょっと長生きできたのかもと思うのです。

2003冊目(今年23冊目)

« 『心と響き合う読書案内』 小川洋子 | トップページ | 『アリエリー教授の「行動経済学」入門』 ダン・アリエリー »

日本の作家 あ行」カテゴリの記事

青空文庫・キンドル無料」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 『心と響き合う読書案内』 小川洋子 | トップページ | 『アリエリー教授の「行動経済学」入門』 ダン・アリエリー »