『アルジャーノン、チャーリイ、そして私』 ダニエル・キイス
ダニエル・キイスは、少年時代から作家になりたいという夢を持っていました。でも両親は彼が医師になることを望んでいました。コナン・ドイルのように、医師になってから作家になるという手もあるけれど、そんな回り道をせずに作家になりたいと思っていました。
紆余曲折あって、学校の教師をしながら小説を書くようになりました。中編小説として書かれた「アルジャーノンに花束を」の原稿を様々な出版社に売り込みをかけるのですが、結末が暗いからダメだと言われたり、そもそも文章が下手だと言われたり。落ち込むことも度々あったけど、自分が正しいと思う方向で小説を書き上げ、出版にまでこぎつけたのです。
この作品には、ダニエル・キイスの様々な思い出や経験が詰め込まれています。主人公に意地悪な同級生や先生の行動は、彼が実際に味わった嫌な体験が反映されています。そして、主人公のチャーリーのイメージも、ある少年の言葉から生まれたのです。
「キイス先生、ぼく、利口になりたい」教師時代に出会った精神遅滞の少年の口からこぼれた言葉。それが、ダニエル・キイスの作家としての運命を決めた。(書籍紹介より)
この作品は後に長編小説となり、映画化され、ミュージカルにもなりました。その度に様々な悩みが生まれます。自分の作品なのに、誰かの手が入ることによって、何とも言えない違うものになってしまうことが気にかかるのです。
でも、ただ流されることはありませんでした。ダニエル・キイスは、嫌なことは嫌だと言える人だったのです。
「アルジャーノンに花束を」を軸にして語られるダニエル・キイスの人生は、挑戦の連続でした。次のステップに進むためには、今まで自分が知らなかった世界に飛び込まなければなりません。それを怖がっていたら前進できないのです。もちろん嫌な目にもあいます。でも、楽しいこと、嬉しいことの方が多いと信じて進んできたからこそ、彼は一流の小説家になれたのでしょう。
努力も、忍耐も必要だけど、一番必要だったのは勇気だったのです!
2015冊目(今年35冊目)
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