『アリエリー教授の「行動経済学」入門』 ダン・アリエリー
・太るとわかっているのに食べてしまう
・解約したい有料チャンネルの契約をいつまでも続ける
・恋は「吊り橋」でよく実る
・報酬が時にやる気を削ぐ
などなど、人のふるまいに潜む不合理をユニークな実験とケーススタディでひもとき、暮らしやビジネスへの活かし方を受講者とともに考える。(紹介文より)
何かを選ぶとき、自分はちゃんと考えているとほとんどの人は答えます。でも、ホントにそれでいいの?と思うような選択をする人は大勢います。
「どうして飲み過ぎたの?」「なぜ、そんなに高い買い物したの?」「約束の時間にどうして遅刻したの?」そういうツッコミに対して「良くわからない」とか「あの時は、こっちがいいと思ったんだ」というような答えが返ってくることがほとんどです。
どうして不合理な行動をしてしまうのかしら?それを考えるのが「行動経済学」です。
Aという店で15ドルで売っているペンが、Bという店で7ドルで売っていたら、その店が少し遠くても買いに行こうと思う人はかなりいます。でも、Cという店で見つけた1,015ドルのスーツが、Dという店では1,007ドルだよと言われても、買いに行く人は余りいません。どちらも同じ8ドル差なのに、どうしてなのかしら?
金額が大きくなれば差額の元の値段に対する比率が低くなります。すると、その位の差ならいいやという心理が生まれるのだそうです。つまりスーパーのチラシを見て、こっちの方が1円安いというようなことを気にする人でも、車や家など高額の買い物をする時になると、小さな差なら気にならなくなってしまい、往々にして高い方を買ってしまうというのです。
「揺れる吊り橋で出会った二人が、吊り橋のどこで出会ったら恋に落ちる可能性が高いのか?」といえば、橋の真ん中なんです。橋が揺れてドキドキしたことと、異性を意識してドキドキしたことが誤認識されてしまうわけです。自分の脈拍が上がっている時、スポーツをしている時とか、旅先とかでも同じようなことが起きるのです。
でも、日常に戻って暫くすると、アレって気がつくわけです。この人ステキじゃないなぁってね(笑)
行列している店に入りたいと思ったり、仲間が持っているものが気になったり、 自分で選んでいると思っているけど、実はそうじゃないってことがたくさんあるのです。
「何で買っちゃったんだろう?」「どうしてダイエットができないの?」誰しもが持っている、こういう疑問の回答がこの本で説明されています。
でもね、読んだだけではダメなのよ。理由はわかっても、それを一生懸命に否定するのが人の心理ですから(笑)
2004冊目(今年24冊目)
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