『魔法の声』 村山仁志
長崎の「阿蘭陀坂テレビ」の河合胡桃さんは、アナウンサーとして2年目、少しずつ仕事を任されるようになってきたけど、まだまだ新人っぽさが抜けていません。
彼女は夜のニュースのキャスターをしている門脇章太郎さんに憧れています。声が素晴らしいだけでなく、人間としても尊敬できる人なのです。その門脇さんが、生放送中に突然黙ってしまったのです。放送事故スレスレでしたが、なぜ黙ってしまったのかを門脇さんはちゃんと説明してくれないのです。
その夜、胡桃さんはコンビニで小夜子という謎の高校生に出会います。どうやら家出をしてきたらしい彼女には、何か秘密があるらしいのです。
小夜子さんを追ってきた小鳥遊(たかなし)という怪しい男性と手下2人の会話がなかなか面白いです。この3人、ヤクザな世界の人なんだけど、根はまともな人達だなぁって感じます。
この物語の著者は長崎のラジオ局のアナウンサーもしている方です。だから生放送の緊張感とか、長崎の町の描写などが上手いのですね。
クリスマスイブのグラバー園からの生中継はステキでしょうね、景色が目に浮かびます。でも、そこで事件が起きていることに気づき、怒涛の追跡中継になってしまったところがスリリングでした。
長崎にまた、行ってみたくなりました。
そして、どんな言葉にも説得力がある「魔法の声」を持つという門脇さん、その声を聴いてみたいです。
物語の中で語られていた「彼が読めば、どんなフェイクニュースだって本当に聞こえてしまう」というのは凄い評価です。
説得力のある声、それは才能でもあり努力の結晶でもあるのですから。
#魔法の声 #NetGalleyJP
2030冊目(今年50冊目)
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