『十年屋 1 時の魔法はいかがでしょう?』 廣嶋玲子
子どもの頃から大切にしていたぬいぐるみやおもちゃを親に捨てられちゃったってことありませんか?大事なものなのにどこにしまってしまったのか忘れてしまったり、いつの間にか失くしてしまったりしたことはありませんか?
大事なものなんだけど、手元に置いておけないものを預かってくれるお店があります。そのお店の名前は「十年屋」といいます。
店長さんは若そうな男の人で、自分の名前も店と同じ「十年屋」だと名乗ります。カラシと言う名の執事猫と一緒にこのお店を守っている魔法使いです。
預けた人の寿命1年分と引き換えに大事なものを10年館預かるという契約を交わします。10年後に預けたものを取りに行くのか、放棄するのかを決めればいいのです。途中で取りに行ってもいいけれど、寿命1年は必ず渡す約束です。この約束は必ず守らなければなりません。
いろんな思いが込もったものを預けていくのですが、それを取りに行く人、もう自分には必要ないと考える人、それぞれの10年の過ごし方が反映されているのでしょうね。10年後にやっぱり手元に戻したいと考えるのも、もう無くても大丈夫と考えるのも、もっと素晴らしいものを手に入れたと考えるのも、どれも正解なのだと思います。
でも、たった一つやってはいけないことである「約束を破ること」をしてしまったあの女性は、自分がやってしまったことの罪深さに本当に気がついたのかなぁ?どうも気付かないままで、自分が可哀想と思っているだけのような気がします。
魔法使いを怒らせると怖いって、こういうことなんだなって思いました。
自分だったら、何を預かってもらうのだろう?と思ったり、執事猫のカラシが入れてくれるお茶とお菓子をごちそうになりたいなぁって思ったり、夢のある物語でした。
この6編が収められています。
・懐かしの白うさぎ
・傲慢のアルバム
・約束の雪だるま
・悔やみの指輪
・残された時計
・作り直しの魔法
2036冊目(今年56冊目)
#十年屋 #NetGalleyJP
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