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『イトウの恋』 中島京子

イトウの恋

中島京子(なかじま きょうこ)

 何がスゴイって、あの「日本奥地紀行」から、こんなイマジネーションが生まれてしまうとはねぇ!

 明治時代に日本を歩いて旅したイザベラ・バードさんと通訳ガイドの伊藤亀吉さん。2人には運命共同体のような気持ちは生まれたとは思うけど、イトウさんがイザベラさんに恋していたという設定は面白いなぁと思います。フィクションなんだけど、そんなことがあったかもしれないと思わせてしまう所が絶妙です。

 

 物語は、イトウさんの手記を見つけてしまった新米教師の久保耕平が、イトウの孫の娘にあたる劇画原作者の田中シゲルさんに連絡を入れるところから始まります。

 最初は迷惑がっていたシゲルさんが、どうにも断り切れない思いにかられるところに笑っちゃいます。自分は男性に対して訳の分からない拒絶感を持っているのかもしれないと、分かっているけど認めたくない感じが滲んできます。

 イザベラさんを慕い続けるイトウさん。異性とどう接したらいいのかよく分からない耕平さんとシゲルさん。2つの話が交錯するのです。

 

 これを読んだら「日本奥地紀行」を絶対に読んで欲しいと思います。イトウさんがいかに献身的に働いたか、明治時代に外国人の女性が日本の田舎を旅することがいかに珍しいことだったかがとても良くわかります。

 この物語の中でも語られていますけど、ガイジンを見にやってくる物見高い日本人の好奇心は、ものすごいんだなぁってことが分かります。まるでパンダを見に行くような、そんなノリの人の多かったことにビックリなのです。

 イザベラ・バードという人のイメージを、より人間臭く感じるようになりました。そして、イトウさんは努力の人だったのだなと再確認しました。実に面白い本でした。

2031冊目(今年51冊目)

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