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『仕事のためのセンス入門』 松浦 弥太郎

仕事のためのセンス入門

松浦 弥太郎(まつうら やたろう)

筑摩書房

NetallyJP

「ああ、困ったな」と思うときは、たいてい物事をあるひとつの方向からしか見ていないものです。一方向からしか見ていないから苦しみになるけど、これをほかのアングルから見てみると、意外なくらい違って見えるものです。(本文より)

 仕事だけじゃなく、世の中のほとんどのことは、そういうことなんだろうなって思います。思い込みが邪魔をして前へ進まなくなることがほとんどです。ちょっと別の向きから見てみたら、そんなに難しいことじゃなかったってわかるんです。

 

「効率」はAIが解決してくれる。それならば僕たちは「AIができないこと」を、探した方がよさそうです。~中略~
ゆっくり、回り道する、余裕、無駄、ていねい、時には止まってみる 改めて眺めてみると、これこそが本来人間の持っている豊かさであると思いませんか?

 AIに仕事を奪われるって脅し文句をいろんなところで聞くけれど、じゃあどうすればいい?ってことにちゃんと答えてくれる人はなかなかいません。勉強しなさい、資格を取りなさい、みたいなことばっかり言われるけど、そういう部分こそAIに駆逐されちゃう部分なんじゃないかしら?ゆったり、のんびり、ホッと一息、そんな人間らしい生き方こそが大事だと分かる人だけが残っていくということだとしたら、無理矢理頑張っちゃダメってことですね。

 

これからの世の中では、自分とは異なる職種や年齢の人たち、自分と別の世界に暮らしている人たち、自分とは真逆の価値観をもつ人たちと、どのようにして深くつながっていくかが大切になってきます。

 いろんな人がいて、いろんな価値観を持って生きています。そして、いろんなことを言ったり、やったりします。それを嫌だと思う人は、それが何故かと考えて欲しいです。そういうことを自分は気付かなかったなぁとか、自分はそういう目に遭ったことがないなぁってことを分かって欲しいのです。もしかしたら、自分も昔はそういう気持ちでいたということを思い出してほしいのです。自分に関係ないと切り捨てないでください。少なくとも、そういう人がいるということは容認して欲しいのです。

 

くり返し「どうして?」と尋ねて、三度目に出てきた答えは、たいていは本音であったり、聞く側にとって本質的に知りたいことであったり、重要な問題点であったりすることが多いのだそうです。

 相手が言ってきた言葉は必ずしも本音ではないのです。もし会社を辞めたいと言ってきたとして、「どうして辞めたいの?」と質問すると、上司と上手くいかないとか、仕事が難しいとかという答えが返ってきます。「どうしてそうなるのかな?」と二つ目の質問をすると、更に細かいことを話してくれます。「たいへんなんだね。努力してきたんだね。もうちょっと聞かせて」と三度目の質問をすると、やっと本音が出てくるというのです。

 こういう聞き方は意識しないとできないですね。相手が発した言葉は、相手の心の一部分であって、その本質は何なのか?それがわからないと本当の理解はできません。「学校へ行きたくない」「人が怖い」というような言葉の奥には、もっともっと深い意味があって、この言葉とは全く関係ないことが原因なのかもしれません。原因が解消されなければ「いや」がどんどん大きくなるばかりなのですから。

 

センスとは、それぞれの生き方のビジョンであり、「自分はどんな人間になりたいのか」をさがす道のりのなかで見えてくるものなのではないでしょうか。

 「自分はどんな人間になりたいのか」それは人それぞれに持っているビジョンです。誠実な人になりたいのか?お金持ちになりたいのか?絵を描き続けたいのか?高い山に登りたいのか?

 「みんなちがって、みんないい」はずなのに、誰かにはめられてしまった枠の中で生きていくのは辛いものです。家族にも、友人にも、他人にも余計な枠を作らないように、もちろん自分自身にもいらない枠を作らないようにすること、それが一番大事なことだと思うのです。

 

#仕事のためのセンス入門 #NetGalleyJP

2048冊目(今年68冊目)

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