『ミッテランの帽子』 アントワーヌ・ローラン
舞台は1980年代。時の大統領ミッテランがブラッスリーに置き忘れた帽子は、持ち主が変わるたびに彼らの人生に幸運をもたらしてゆく。うだつの上がらない会計士、不倫を断ち切れない女、スランプ中の天才調香師、退屈なブルジョワ男。まだ携帯もインターネットもなく、フランスが最も輝いていた時代の、洒脱な大人のおとぎ話。(書籍案内 より)
ミッテランの帽子を手にした人たちは、それまではみんな困りごとを持っていたんです。ところがミッテランの黒いフエルト帽を手にしてから、困りごとが急になくなっていくんです。そして、自分はこんなに自由なんだって気がつくと、その帽子はなぜか手元からなくなってしまって、別の人の手へと渡ってしまうのです。
この物語に登場する人たちは、みんな何かが足りなかった人たち。見栄っ張りで、口が悪くて、とにかく自分が大事と思っている周囲の人たちに悩まされて、あと一歩、あと一言が出なかった人たちです。
この帽子に幸運を与えてもらった人たちは、様々な人生を歩んでいるけれど、きっとこれからも幸せに生きていけるのでしょうね。だって、大統領という地位に立った人の幸運を分けてもらったんですもの。
こんな物語に登場するくらい、ミッテラン大統領は国民から愛されていたのかしら?だとしたら、とても幸せな方だなって思います。日本の首相じゃ、こんな夢のような物語はできないですものね。
2077冊目(今年97冊目)
« 『100年前の東京と自然 プラントハンター ウィルソンの写真』 名古屋智子 | トップページ | 『斎藤一人 幸せの名言集』 »
「海外 小説」カテゴリの記事
- 『オリーヴ・キタリッジの生活』 エリザベス・ストラウト(2022.06.26)
- 『昨日』 アゴタ・クリストフ(2022.06.07)
- 『書店主フィクリーのものがたり』 ガブリエル・ゼヴィン(2022.06.06)
- 『幽霊たち』 ポール・オースター(2022.05.07)
- 『10の奇妙な話』 ミック・ジャクソン(2022.05.06)
« 『100年前の東京と自然 プラントハンター ウィルソンの写真』 名古屋智子 | トップページ | 『斎藤一人 幸せの名言集』 »
コメント