『ミッテランの帽子』 アントワーヌ・ローラン
舞台は1980年代。時の大統領ミッテランがブラッスリーに置き忘れた帽子は、持ち主が変わるたびに彼らの人生に幸運をもたらしてゆく。うだつの上がらない会計士、不倫を断ち切れない女、スランプ中の天才調香師、退屈なブルジョワ男。まだ携帯もインターネットもなく、フランスが最も輝いていた時代の、洒脱な大人のおとぎ話。(書籍案内 より)
ミッテランの帽子を手にした人たちは、それまではみんな困りごとを持っていたんです。ところがミッテランの黒いフエルト帽を手にしてから、困りごとが急になくなっていくんです。そして、自分はこんなに自由なんだって気がつくと、その帽子はなぜか手元からなくなってしまって、別の人の手へと渡ってしまうのです。
この物語に登場する人たちは、みんな何かが足りなかった人たち。見栄っ張りで、口が悪くて、とにかく自分が大事と思っている周囲の人たちに悩まされて、あと一歩、あと一言が出なかった人たちです。
この帽子に幸運を与えてもらった人たちは、様々な人生を歩んでいるけれど、きっとこれからも幸せに生きていけるのでしょうね。だって、大統領という地位に立った人の幸運を分けてもらったんですもの。
こんな物語に登場するくらい、ミッテラン大統領は国民から愛されていたのかしら?だとしたら、とても幸せな方だなって思います。日本の首相じゃ、こんな夢のような物語はできないですものね。
2077冊目(今年97冊目)
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