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『おばちゃんたちのいるところ』 松田青子

おばちゃんたちのいるところ

松田青子(まつだ あおこ)

中公文庫

 付き合っていた男に振られちゃったり、体の具合が悪かったり、御朱印帳を書いていたり、いろんな女の人がいます。みんな何かに困っているんところに、それを助けてくれる幽霊が現れるんですけど、それがみんな「おばちゃん」。幽霊になった当初は若かったかもしれないけど、彼女たちは死なないから、結構年季が入っているのね。だからみんな体質がおばちゃんなのかもしれない(笑)

 おばちゃんだから、幽霊なのに怖くないの。どちらかといえば面白い人ばっかり。自分が幽霊だという自覚がない人もいるし、幽霊になってむしろ元気になったという人もいるし、そうなると幽霊になるっていうのは悲しいことばっかりじゃないような気がしてきます。

 幽霊じゃないけど、自分は狐だってことに気付いていなかったクズハさんの話が一番好きかなぁ。思い込みって不思議なもので、現実がどうであろうとそう信じてるのよね。他人から見れば十分に痩せている人が「もっと痩せなきゃ」って思っていたり。ほんとはおバカなのに「自分は優秀である」って信じていたり。そういう誤解ってよくあるもの、自分が狐だって気付いていない狐がいたって不思議じゃないなぁ。

 おばちゃんが楽しく暮らしていけるのは、自分に正直だからじゃないかしら?変なプライドとか、昔は良かったとか、そんなことに縛られていると現実が見えなくなっちゃうけど、おばちゃんは今を生きてるから、今何食べたいとか、今どうしたいということが重要なの。それを誰かに評価されるとかはいらないのよ。自分の満足度がすべて!

 おばちゃんは死んでもおばちゃんだからって思うと、なんだか笑えて来ちゃいます。

 文芸ピープルで紹介されていました。

2067冊目(今年87冊目)

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