『100年前の東京と自然 プラントハンター ウィルソンの写真』 名古屋智子
いつの時代にもスゴイ人というのはいるものですが、100年前に英国からやってきたアーネスト・ヘンリー・ウィルソンは、恐るべき好奇心と探求心の持ち主でした。
彼が日本へ訪れた時期は、第一次世界大戦が勃発したころです。そんな時節に家族と共に極東への調査旅行をしようと考えること自体が凄いですが、彼が日本で見つけた植物の数の多さにも驚くばかりです。
植物を採取することだけでなく、写真で記録を残そうと考えたところが彼の素晴らしい点です。沖縄からサハリンまで、日本全国の写真を残しました。それらの写真はハーバード大学アーノルド樹木園に残されていて、その数は7千枚にものぼるそうです。
ウィルソンは最初から学者だったわけではありません。でも、その旺盛な探求心で学び続け、ハーバード大の学位を取得しました。でも、彼はフィールドワークを愛し、プラントハンターとして活動する方が性に合っていたようです。1927年からアーノルド植物園園長に就任し、家族と共にニューイングランド近郊で小旅行を楽しむ時間を楽しんだそうです。1930年、ボストン郊外をドライブしていた時に車が崖から転落し、54歳で妻と共に亡くなりました。
100年前の写真に記録された風景と、同じ場所で撮った写真は時の流れを見事に教えてくれます。昔と変わらない風景も、すっかり変わってしまった風景もあります。人はいなくなっても、木はそこで大きく枝を伸ばし続けていく、そんな当たり前のことに感動してしまう写真集でした。
2076冊目(今年96冊目)
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