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『今日の人生 1』 益田ミリ

今日の人生 1

益田ミリ(ますだ みり)

ミシマ社

ヨックモックのシガールで息をすってみたら甘い空気でした。(本文より)

 アハハ、こどもの時にわたしもやったことありますよ。甘い香りがして、おいしさが倍増したような気がしました。

 

ソファの上にあうミシマさんの荷物は、
不思議と、ミシマさんそのもののようなたたずまいをしており
それがなんだかおかしかったのでした

 その人がいなくても、荷物だけであの人がそこにいるって感じることって確かにあります。その人らしさがそんなところにも出るって不思議です。だから、自分が来ている服とか、持ち物とかを他人から見られていて、何かをその人が感じてるのかもしれないと思うことを、ミリさんは色々と書いています。そんな気持ちを言葉にすると、今まで気がつかなかった自分が見えてくるのかもしれません。

 

ブランドショップが軒を並べ、
銀座の夜はキラキラしていた。
何人かで一緒に歩いていた中の
ひとりの男性がぽつりと言った。
「必要なものがなんにもない。なんにも」

 都会にはキラキラしていてステキなものがたくさんあるって、昔は漠然と思っていました。でも、よく考えてみると、自分には関係ないものがたくさんあるだけなのかもしれないって気がしてきました。わたし自身、昔は銀座へ行くと何かステキなものがあるって思っていたけれど、この頃はちっともステキなものが見つからないのです。だから、わざわざ行こうという気持ちも湧いてこないのです。

 なぜなのかしら?街が変わってしまったのかしら?それとも、わたしが変わってしまったのかしら?

 新しいもの、外国からきたもの、珍しいもの、オシャレなもの、そういうものがあり過ぎると、かえってつまらなくなってしまうのかもしれないなぁって気がします。

 もっとシンプルでいいのになぁって気持ちが、大きくなってきたのは間違いありません。

 

 ミリさんみたいに、毎日ちょっとの時間でいいから、何か気になったことを考えてみるって大事だと思います。そこから、自分の今の気持ちに気づけるような気がするのです。

2058冊目(今年78冊目)

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