『見知らぬ友』 マルセロ・ビルマヘール
何だろう?この感覚は、地球の裏側の見たこともない町の話なのに、とても懐かしく感じてしまうのです。
お兄さんがフォークランド紛争で徴兵されて、両親が心配のあまりに弟のことを構ってくれなくなった「立ち入り禁止」。老婆が亡くなって、その家から持ち出した一枚の写真の秘密が語られる「クラス一の美少女」。きっと著者のマルセロはこんな子だったんだろうなと思わせる「地球のかたわれ」。
アルゼンチン出身の友人、アンドレスの顔を思い浮かべながらこの本を読みました。どの作品も、いろいろ困ったことは起きるけどさ、きっと何とかなるよって笑ってた彼が語っているような気がするのです。
「ムコンボ」に登場した「0011ナポレオン・ソロの登場人物ウェバーリー」には、思わずニヤニヤしてしまいました。マルセロもあの番組を見てたんだ!同じ時代の人間なんだって感じましたよ。
この本の中に登場する「ものすごく貧乏というわけじゃないけど、2間しかないアパートに4人で暮らしていた」というような感覚が、わたしの子ども時代の感覚にとっても近いんです。みんなそんなに豊ってわけじゃないけど、それなりに楽しく生きていた時代の記憶が呼び覚まされるような気がします。
あの頃はエアコンも、スマホも、コンビニもなかったけど、別に不自由だと思ったことなんかないなぁってね。逆に外国に対する好奇心はあの頃の方が大きかったなぁなんて思います。
著者はアルゼンチンのブエノスアイレス生まれ作家。ブエノスアイレスって、南米のパリと呼ばれる美しい町なんですよね。でもマルセロが育った時代、国はいろんな意味で揺れていた時代だったのです。
この本には10篇の作品が収められています。
こんなに面白い文章を書く人がいたなんて、素晴らしい発見です!他にも翻訳されている本があるのかしら?
2074冊目(今年94冊目)
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