『さざなみのよる』 木皿泉
ナスミはこともなげに、そう言った。
「もどりたいと思った瞬間、人はもどれるんだよ」
ナスミさんは末期がんで病院のベッドにいます。家族は彼女のことだから、きっとしぶとく生き残るよって思ってました。
ナスミさんはとてもエキセントリックな女性です。学生時代に家出を何度も繰り返したり、いろんな意味で目立ってしょうがない子だったんだろうなぁって想像できます。
1フジ、2タカ、3ナスミって、言葉にしてみると面白いなぁ。親は良かれと思って付けた名前なんだろうけど、インパクトあり過ぎですね。
登場するそれぞれの人が、ナスミさんとの思い出を持っています。雑なように見えてとても優しい人だったって、みんな思っています。同僚の不倫相手を殴ってしまったり、ダイヤモンドの指輪のこととか、不器用だけど誠実な心を持った人だったんですね。
ナスミさんは亡くなってしまったけど、みんなの心の中に生きてるんだなって思ったら、涙が出てきました。
2055冊目(今年75冊目)
« 『あるがままに自閉症です』 東田直樹 | トップページ | 『“ひとり出版社”という働きかた』 西山雅子 »
「日本の作家 か行」カテゴリの記事
- 『降伏の時』 稲木誠 小暮聡子(2022.04.28)
- 『2030年の東京』 河合雅司 牧野知弘(2022.04.23)
- 『世界100年カレンダー』 河合雅司(2022.04.16)
- 『浮遊館 1巻 不思議のはじまり』 たかはしみか かんざきかりん(2022.03.10)
- 『時代をきりひらいた日本の女たち』 落合恵子 小杉みのり 朝野ペコ(2022.03.04)
コメント