『三兄弟の僕らは』 小路幸也
朗、昭、幸、僕らは3人兄弟。両親と5人暮らしでした。両親の結婚25周年の旅行に、3人でお金を出し合って行ってもらったんだけど、その旅行の途中で2人は交通事故で死んでしまったんです、突然に。
何にも分からない僕らのために、栄枝ばあちゃんが北海道から飛んできてくれて、お葬式から相続のことから、とにかく何でもやってくれました。
僕ら3人と栄枝ばあちゃんの4人で暮らすことになって、僕らは前よりもいろんなことを話し合うようになったんです。そして自分たちは両親のことも、近所のことも、何にも知らないということに気付きました。栄枝おばあちゃんやいろんな人から、これまで知らなかったことを聞いて、そうだったんだと感心することばかりが増えました。
両親が若かったころのこととか、どうやって出会ったとか、母親とその親との関係とか、ご近所の関りとか、知らないことがホントにたくさんあるんです。この3兄弟だって、両親がこんなに若くして亡くならなかったら、知らずじまいだったかもしれないことだってあります。
仲のいい3兄弟だからといって、何でも話し合ってるわけじゃありません。別に隠しているわけじゃないけど、話す機会がなかったり、そこまで言わなくていいんじゃないって思ってたりすることもありますから。
親が亡くなって、初めて分かることっていろいろあって、それで困った事態になってしまう事もあるんです。
3兄弟は、両親のいろんなことを良い方向へ解釈できる人たちで良かったなって思います。どんな人にも歴史があるのよね。それがいいことであれ、悪いことであれ、それがその人を作り上げてきたものなんだよねって思えるって素晴らしいことだと思います。それだけ良い両親であったという証明でもあるのかもしれません。
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