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『ベサニーと屋根裏の秘密』 ジャック・メギット・フィリップス

ベサニーと屋根裏の秘密 The Beast and the Betharny

ジャック・メギット・フィリップス Jack Meggitt-Phillips

イザベル・フォラス Isabelle Follath 絵
 
橋本恵(はしもと めぐみ) 訳

静山社 NetallyJP

英国

 エベニーザーが住む大きな屋敷の屋根裏に、すごい力を持ったビーストが住んでいます。このビーストに美味しいものを与えると、エベニーザーが欲しいものが何でも手に入るのです。お金も家具も、そして不老薬までも手にした彼は、500歳を超えても見た目は20歳そこそこのイケメンです。

 そろそろ不老薬が切れてきたので、ビーストにお願いしに行ったら、人間の子どもを食べたいという無茶なリクエストをもらってしまいました。しょうがないので孤児院へいって、適当な子がいないかと探していたら、これぞ悪ガキなべサニーという女の子がいて、この子ならビーストに食われてもいいかと判断して、連れて帰ってきてしまいます。

 ビーストにべサニーを見せたところ、ガリガリ過ぎてうまそうじゃない、太らせてから連れてこいといわれて、ケーキやお菓子をたくさん食べさせて太らせようと、エベニーザーはあの手この手を尽くします。

 とにかくいうことは聞かないし、憎まれ口ばっかりいうし、どうしようもなく手がかかる子だと怒りまくっていたエベニーザーでしたけど、しばらく一緒に暮らすうちに、べサニーの良さが少しわかってきて、この子が食べられちゃうのは嫌だなぁって思うようになっていったのです。

 

 この物語に登場する人たちはみんな決していい人じゃないんです。欲の皮が張っていて、見栄っ張りで、金の亡者で、みんな自分の主張することが一番大事だと思っている人ばっかり。その中でも一番とんでもない主張をし続けてきたのがビーストです。

 そのビーストから不老薬をもらうために、言いなりになっていたエベニーザーは少しずつ自分の愚かさに気がついてきたんです。

 

 べサニーはとんでもない子のようでいて、実は人の気持ちが良く分かる子なんじゃないかなぁって思います。だからこそ、相手の心のスキを突くようなことを言ってくるんじゃないかな?どこかしらピッピと似たような愛に飢えた子なんだろうなと感じます。

 人の欲というのは限りがなくて、どこまでもエスカレートすることの怖さが、この物語の根底にあるように思います。そして、その欲に対して「NO」を言わない自分も、その欲に加担してしまっていることに気づかないことの怖さもあるなって思いました。

 べサニーとエベニーザーはこれから、どんな人生を歩んでいくのかしら?

#ベサニー #NetGalleyJP 

2087冊目(今年107冊目)

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