『京都で考えた』 吉田篤弘
そういえば、デジタル技術の恩恵のひとつはノイズの除去だったが、いざノイズがなくなった映像や音楽に触れてみると、じつは、あのノイズの方にこそ、記憶されるべき何者か----物事のぬくもりや微妙な感触といったものが含まれていたのだと気がついた。
書物がわれわれの頭の中のあれこれを記憶するというのはお伽話のように聞こえるかもしれないが、長らく本を読んできたものとしては、「いや、本当にそう感じる時がある」と確かにそう思う。(本文より)
吉田さんの作品にはいつもゆったりとした不思議な空気が漂っています。ゆったりと、のんびりとしている中に不思議な何かが登場するんです。その不思議なものとノイズが重なるような気がします。
この世に無駄なものなんてないんだってことを知ると、急ぐこととか、正解を求めることが、とても意味のないことに思えてきます。ちょっと寄り道してみないと見つけられないものだってあるのかもしれないし。
京都で古本屋さんや中古レコード店を巡り、喫茶店で一息ついて、そんな旅をしてみたいなぁ。吉田さんみたいに、ゆったりとした旅をしてみたい。
2090冊目(今年110冊目)
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