『絵はがきで楽しむ歴史散歩』 富田昭次
スマホで写真を簡単に撮れるようになり、手紙やはがきよりメールが主流になってしまった今、絵葉書って忘れ去られてしまったものなのかもしれません。
観光地に行けば必ずそこの風景を使った絵葉書がお土産物屋さんにありましたけど、これも絶滅危惧種なのかしら?
どこかへ旅した時に、その記念として建物や風景の絵葉書を買って、自分に送るということをしていたことがあります。その絵葉書を見て、あの時は暑かったなぁとか、一緒に言った人のこととか、いろんなことを思い出します。切手や消印を見て思い出すこともあります。これは、あのホテルで出したなとか、あそこのポストは面白かったなとかね。
この本に登場する絵葉書には、歴史的な建物や風俗が記録されています。銀座の柳、忠犬ハチ公、観光客を頭の上に乗せて運ぶアンコ娘など、当時の人たちの雰囲気も見えてきます。
今は原爆ドームとして知られている広島の商品陳列所(1915年 大正4年完成)の写真は、当時の繁栄を感じさせます。
写真を撮った時点では単なる記録だったのかもしれませんが、今となれば貴重な写真。昔の方が立派な建物が多かったなぁと思うものが多いのです。
そんな中で、私が一番びっくりしたのはツェッペリン号の内部の写真です。外側の雰囲気からは想像もできない豪華なホテルのような内装にただ驚くばかりでした。
清水の次郎長とか、愛新覚羅溥儀とか、ブロマイド的なものもあるんですね。広島大本営跡の玉座やレントゲンの機械など、そんなものまで絵葉書にしちゃうの?と思うようなものもあって面白いです。絵葉書って、何かしらの「すごいでしょ!」「行ってみたいでしょ!」という気持ちで作られていたんですね。今の時代のインスタ映えと同じような感覚なのでしょうね。
写真の被写体が面白いものばかりだっただけに、白黒写真が多いのが残念でした。昔はカラー写真はなかったけれど着色写真がかなりあったはずなので。
2096冊目(今年116冊目)
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