『おひとりさまの老後』(再読) 上野千鶴子
だれでも「最後まで自宅で過ごしたい」がホンネ
介護施設や病院ではなく、できれば自宅で過ごしたいと思う人が多いけれど、それをできなくしているのは何なのかしら?身体が不自由になっているから、認知症があるから、というような理由で、本人の意思ではなく、家族の都合でできなくなっている人が多いのです。
元々ひとり暮しの人なら、介護の人を頼んだり、週に何日かデイホームへ行くということで自宅生活を実現している人がいるのに、同居家族がいるためにそれができないというのは、何だか不思議ねって思います。
「ひとりは心地よい」と思えるか
誰かと過ごす時間も楽しいけど、ひとりでいる時間が大切だと思っていて、ひとりでの過ごし方を分かっているかどうか、そこが老後にひとりで楽しく暮らしていけるかどうかのポイントなのでしょうね。
さみしいときはさみしいと言える
それでも、時々はさみしくなるから、さみしいと言える相手がいるのが大事なのでしょうね。コロナ禍で、若い人でも孤独で鬱になってしまったり、体調が悪くなってしまった人がかなりいます。さみしさとどう折り合いを付けていくのか、それはこれからの時代を生き抜く大事なことなのかもしれません。
誰だって必ず死ぬんです。でも、その順番は分からないのです。今日まで元気でも、明日交通事故で死ぬかもしれません。病弱だからと心配している方が長生きするかもしれません。でも、死なない人はいません。自分は必ずいつかは死ぬのだから、そのために準備しておかなければならないことが色々あります。
死んだことを誰に伝えて欲しいのか、残したお金や資産はどうすればいいのか、終活としてそういうことを考えている人もいますけど、意外と気がつかないのが、死んだらすぐに見つけてもらえるかということです。
入院しているとか、同居人がいる場合は、気がついてくれる人がいますけど、ひとりでひっそりと死んでしまって、発見が遅れて大変なことになってしまうことが最近増えてますよね。そういうことだけにはならないようにしないとね。
数年前に、単身赴任していた友人が住まいで倒れて、出社してこないので会社の人が見に行ったら亡くなっていたということがあるのです。まだ50代で身体も鍛えていて、どこも悪いところがなさそうな人だったのに。
この本を以前読んだときとは、ちょっと考えが違ってきています。以前のレビュー
いかに生きていくかよりも、いかに死ぬかが大事だなという気持ちに変わりつつあるのです。
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