『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン
この物語に登場するのは
ネズミのスニッフとスカリー、小人のヘムとホー。
2匹と2人は「迷路」のなかに住み、「チーズ」を探します。
「チーズ」とは、私たちが人生で求めるもの、つまり、仕事、家族、財産、健康、精神的な安定---等々の象徴。
「迷路」とは、チーズを追いもとめる場所、つまり、会社、地域社会、家庭---等々の象徴です。(まえがき より)
2匹と2人は、チーズを食べて生きています。チーズがたくさんある場所(チーズ・ステーションC)を見つけてから、ヘムとホーの2人は「これだけたくさんチーズがあれば、もう安心」と思って、チーズがある場所のそばに住まいを移して永住するつもりです。一方、スニッフとスカリーは、ここにチーズがあることはもちろん知ってますけど、それ以外にもないかと毎日迷路の中を歩き回っています。
あんなにたくさんあったチーズでしたけど、時と共に減っていき、ついに無くなってしまったのです。ヘムとホーはうろたえます。どうして無くなってしまったのかと悩むばかりです。
スニッフとスカリーの方は、常に探し続けていましたから、新しい場所チーズ・ステーションNを見つけました。
この本は1998年に米国で出版され、翻訳版が日本で発売出版されたのは2000年。20年たった今も、この本が語ることばの輝きは変わりませんね。
・遅れをとっても、何もしないよりいい
・古いチーズに早く見切りをつければ それだけ早く新しいチーズがみつかる
・早い時期に小さな変化に気づけば やがて訪れる大きな変化にうまく適応できる
・最大の障害は自分自身の中にある。自分が変わらなければ好転しない ---そう思い知らされた。
何かあった時に、その状況を理解して分析することはできても、次のアクションが起こせないから、そこから抜け出せなくなってしまうんです。冷静に考えれば、とても簡単なことです。
ところが、そんな境遇に自分がなってみると、意外とオロオロするばかりなのです。そんな日が来ると想像していなかったのか、自分には何ができるのかが分かっていないのか、理由は様々ですけど、思考がフリーズしてしまって何もできなくなってしまうのです。
何か問題が起きた時に「情報の収集と分析」しかできない、某政府などはその典型ですよね。
普段からいろんな想定をしておくこと、よその世界を見ておくこと、自分が置かれている環境を自分以外の視点から見てみること。そういうことって大事だなぁと改めて感じました。
コロナ禍になって、いろんな前提条件がひっくり返されてしまいました。
内需がダメならインバウンドに頼ればいいって思っていたのに、インバウンドがダメになってしまったり。みんなで集まって会議をしなくっちゃと言っていたのに、リモート会議で大丈夫ということが分かってしまったり。在宅勤務になって初めて、自宅に机といすがないことに気がついたり。
病気になったり、歳を取ったり、家族が増えたり減ったり、いろんな環境が変わっていくのに、ずっと同じ生活を続けようったって無理なんだってことに、今だからこそ気がつかないとね。
これまで信じてきたことがひっくり返っても、何かしらの方法で生きていかなければならないんですから。
重い腰を上げて動き出したホーが書き残したメッセージをヘムは見つける日が来るのでしょうか?
続編「迷路の外には何がある?」は、ヘムの物語です。
登場人物の名前には、こういう意味があるのだそうです。なるほどねぇって思います。
スニッフ においをかぐ、~をかぎつける
スカリー 急いで行く、素早く動く
ヘム 閉じ込める、取り囲む
ホー 口ごもる、笑う
#チーズはどこへ消えた #NetGalleyJP
2099冊目(今年119冊目)
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