『そこに工場があるかぎり』 小川洋子
小川さんは、職人さんたちのことを魔法使いのような人たちだと思っているんじゃないかしら。傍目には地味な動きだけれど、ちょっとした手の動き、機械の音、材料の色の変化、そういったものを見事に組み合わせて素晴らしいものを作り上げていく。そういう現場を見学できるってホントに幸せな体験ですものね。
・細穴の奥は深い(株式会社エストロラボ 屋号 細穴屋)
様々な金属に小さな穴を明ける専門の仕事をされています。次の作業のガイドとなる穴を明けるという仕事があるのですね。ですから、この会社の方は、その部品が最終的に何になるのか分からないことがほとんどなのだそうです。
・お菓子と秘密。その魅力的な世界(グリコピア神戸)
グリコのポッキーを作る工場の見学は楽しそうですね。ポッキーの芯になっている部分は、実は長~い棒状のもので、それに完成品に合わせて筋が入っていて、それが工場のラインの中で自重で折れていくというのにビックリです!
・丘の上でボートを作る(桑野造船株式会社)
琵琶湖にほど近い山の中にあるこの工場は、日本で唯一の1人~8人用の競技ボートを制作する場所なのだそうです。ここで働く人たちはほとんどがボート競技をしていた、あるいは今もしています。
・手の体温を伝える(五十畑工業株式会社)
保育園でお散歩のときに、子供たちを何人も載せている手押しの車を見たことありませんか?それが五十畑工業さんの「お散歩カー」です。元々は普通の乳母車を作っていたのですが、2人用だとどうだろう?3人は?4人は?ということで出来上がったのがこの製品なんだそうです。今や保育園では必需品ですよね。最近は老人用、ペット用など様々なタイプの手押し車や車椅子も制作されています。
現在の天皇が赤ちゃんの時に、美智子妃殿下がオーダーを出されたのもこの会社なんですって。
・瞬間の想像力(山口硝子製作所)
「試験管やスポイトは現在はすべて機械化」という文章を見て、小学生のころのことを思い出しました。6年生の時に地域の科学センターへ通っていたわたしは、いろんな実験や実習をさせてもらったのですが、その中に「ガラス管でスポイトを作る」というのがあったんですよ!長いガラス管の中央にガスバーナーの火を当て、両側から引っ張ってスポイトの口を作る実習がとっても面白かったのを思い出しました。
・身を削り奉仕する(北星鉛筆株式会社)
あたらしい筆記用具がいろいろと登場しても、やっぱり基本は鉛筆ですね。机の上で転がりにくいので6角形の鉛筆が主流ですけど、芯を守るという意味では丸型の方が優れているので、色鉛筆は丸型だということを初めて知りました。
ものづくりをされる方は、みなさん研究熱心で好奇心旺盛なんですね。どの工場もすてきだなぁ、見学に行きたいなぁっていうところばかりでした。
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