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『1960年代の東京 路面電車が走る水の都の記憶』 池田信

1960年代の東京(新装版)
路面電車が走る水の都の記憶

池田信(いけだ あきら)

毎日新聞出版

 東京にはかつてはもっと多くの河川がありました。都市化が進み、1964年のオリンピックのころから河川は暗渠化されたり、高速道路になってしまったり、その姿を変えてしまったのです。

 

 この写真集の中で特に印象的なのがはp6~p7の日本橋の姿です。1961年に撮影されたこの写真、首都高速ができる前なので、日本橋の上には空が広がっているのです。将来的には、日本橋の上にかかっている首都高速を地下化して、ここに空を取り戻すという計画があるのだそうですけど、それが実現するのは予定としては2040年。元気でいたら、ぜひ見に行きたいものです。

 

 神田駿河台にあった「主婦の友」の社屋(p202)はウィリアム・メレル・ヴォーリーズが設計したものです。古書街にいったら、必ずここへも立ち寄っていました。古めかしい建物が、なんだか好きだったんですよね。

 

 丸の内のオフィス街にいる焼き芋屋さん(p210)の写真が、とってもいいなぁ。そばにいる女性はきっと、おやつの焼き芋を買いに来たところだと思うの。焼き芋屋さんって、寒い地域からの出稼ぎさんが多かったんですってね。今はスーパーでも売ってる焼き芋だけど、やっぱりあの屋台からただようおいしそうな匂いは特別だったなって思います。

 

 これらすべての写真を撮影した池田さんは、とにかく町並みを記録しておこうという気持ちで、写真撮影をしていたような気がします。そういう考え方って、とても大事だと思うんです。町は日々変わっていきます。古い建物は壊され、新しい建物は高く、大きく、空を隠してしまいます。今を後世に残せるのは、今生きる人間だけなのだと感じました。

 

 何故なんだろう、行ったことがない所さえも懐かしい。川の雰囲気も、町並みも、人の姿も、今よりずっと希望に満ちていたあの頃。そんな気持ちになってしまう写真集でした。

2129冊目(今年149冊目)

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