『まち歩きが楽しくなる水路上観察入門』 吉村生 高山英男
暗渠(あんきょ)とは、かつて川だったところに蓋をして通路として使用できるようにした場所です。きちんと埋めて舗装道路にしたところもありますが、上に蓋をしただけのものを歩道として使用しているところが多いようです。
都内には暗渠された場所がたくさんあります。この間、初めて通る道が六差路になっていて、これは怪しいなぁって思っていたら、やはり昔はそこに川があって、それを暗渠化したためにこんな複雑な交差点になっていたのです。
神田の今川橋(今川焼発祥の地)、有楽町の数寄屋橋(岸恵子さん主演の「君の名は」の待ち合わせ場所)など、地名としては残っていても、川も橋もないところがたくさんあります。新橋だって、駅名としてしか残っていませんね。春の小川の渋谷川はキャットストリートという名前になって、すっかりお洒落な通りになってしまいました。
この本で取り上げられていた堅川(たてかわ)の埋め立てられてしまった部分と川として残った部分の境目の近くに、わたしは住んでいます。
竪川は1659年に起工された運河で、日本橋横山町と逆井(江戸川区)の2つの地点に狼煙(のろし)を上げてそれを目印にして作られたというのです。当時、凄いアイデアを思い付いた人がいたのですね。おかげで、ビックリするほどまっすぐな運河ができたのです。
この川は水路として使用され、千葉から塩や魚を運んだり、信州から木材を川のそばにある材木店まで運んでいたのです。昭和の時代に多くの材木商は新木場に移転しました。その結果、埋め立てられてしまった江東区側にはもう材木店はありませんが、墨田区側には数店残っています。川が残っているのも、それと無関係とは思えない気がします。
暗渠されても、元が川であったところは微妙な蛇行があるので、昔は川だったのだろうなと想像できたりします。橋の欄干や護岸が残っている所もあって、散歩しながらそういうものを見つけるのは楽しいです。
かつて川だったからこそ、そのそばには大勢の人が住んで町ができたのです。そんな場所を見つけに行きましょうか!
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コメント
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はじめまして。書評webからこちらにたどり着きました。暗渠マニアックスの高山と申します。
この度は、拙著を読んでくださって、そしてご感想まで頂きまして、まことにありがとうございます。
竪川のほとりにいらしたのですね。きっと毎日、水面のある川と、水面のない川と両方に接されて、しらずしらずのうちにRokoさまの心の中にも複雑な川への想いが堆積されていた、のかもしれませんね。
そんな方に拙著がお届けできて、とてもうれしい思いです。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: 高山英男 | 2021年6月14日 (月) 13:12